原発事故の警戒区域解除は「早すぎた」 南相馬市・住民アンケートで国や市への批判が続出
福島第一原発の事故で約1万3000人の全住民が現在も避難生活を強いられている南相馬市小高区。4月16日に住民の立ち入りを禁止する「警戒区域」の指定が約1年ぶりに解除されたものの、「解除が早すぎた」と考えている住民が多いことが、小高区の西部に位置する川房行政区が実施したアンケート調査結果で明らかになった。
アンケート結果(5月31日現在)によれば、原発事故前に川房行政区に住んでいた住民のうち83人から回答があった(回答率63.8%)。
警戒区域解除について「早すぎた」と回答した人は50人(全体の60.3%)に達した。「除染が終わってから(解除すべき)」も27人(32.5%)にのぼった。その一方で、「わからない、どちらとも言えない」と答えた人は5人(6.0%)、「適切」とした人はわずか1人(1.2%)にとどまった。
また、川房行政区が4月16日付けで新たに「居住制限区域」に指定されたことについても、「納得いかない」とする住民が69人(83.1%)に達した。
政府は、警戒区域に替わる新たな避難指示区域設定に際して、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実である地域を「避難指示解除準備区域」に指定。その一方で、20ミリシーベルトを超えるおそれがある地域は「居住制限区域」、50ミリシーベルト超が「帰還困難区域」に指定された。
居住制限区域は現時点での放射線量が依然として高いにもかかわらず、警戒区域時とは異なり住民には自由な立ち入りが認められている(ただし宿泊は禁止)。放射線被曝スクリーニングや防護服の着用も不要で、妊婦や子どもの立ち入り制限もない。
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