ついに憲法判断「再婚禁止期間」の争点とは?

知っておきたい「10の基礎知識」をQ&Aで解説

Q7 何が問題?→その1「子どもが無戸籍になる可能性」

一番の問題は、この民法733条の再婚禁止期間、および772条の嫡出推定があるがために、「子どもたちが無戸籍になる可能性がある」ということです。

たとえば、私の場合は、前夫と別居してから離婚が成立するまでに何年もかかりました。やっと離婚が成立し、その後、現夫と再婚。現夫と婚姻してから子どもを妊娠しましたが、この子が早産で、265日で生まれてしまいました。

すでに離婚しているにもかかわらず、「離婚後300日以内に生まれたために、『現夫の子』ではなく『前夫の子』として戸籍を作らなければならない」と言われたのです。

きちんと結婚して、間違いなく現夫との間の子どもを妊娠したのに「前夫の子ども」にされてしまうのです。

おかしいですよね? つまり日本の法律では「離婚後も女性たちは前夫の性的拘束下におかれる」ということが是認されている、ということでもあります。

このことを訴え、私の場合は最終的に裁判で勝訴しましたが、子どもはその間は無戸籍でした(その後、法務省は「民事局長通達」を出し、「離婚後に妊娠した」という医師の証明書があれば、離婚後、300日を経ていなくても、現夫の子どもとして出生届を出せると「ルール変更」をしました)。

誰の子でもない「空白の80日」ができてしまう

Q8 他に問題は?→その2「誰の子でもない『80日間』の空白ができてしまう」

772条2項では「結婚した日から200日を経過したのちに生まれた子は、結婚中に妊娠したものと推定する」となっています。

つまり、結婚してから200日以降に生まれた子どもは夫の子として推定されるが、それ以前に生まれた場合は、本当に夫の子だとしても、法律上の父親とは認められないということです。

「じゃあ、できちゃった婚はどうなるの?」と思った人は鋭い! 現状では出生届の父親欄に後夫を書いた出生届を出すことによって「認知準正」といって、夫の子どもとして認められることになっています。俳優の大沢樹生さんもこの例でした。

ともかくこの200日とか180日とか300日とかいう数字が矛盾を生んでしまうのです。離婚後、300日以内に生まれた子供は「前夫の子」として推定されることを思い出してみてください。これを計算式にすると

180日(再婚禁止期間)+200日(婚姻後、現夫が父親と推定されるまでの期間)―300日(離婚後、前夫に父親の推定が効く期間)=80日

 

となります。この80日間は、前夫の嫡出推定も現夫の嫡出推定も及ばない「空白」の期間になってしまっているのです。

「扶養義務を負う父親を早期に決めて親子関係を安定させることが子の利益につながる」から最も遠いところです。

次ページでは、どう改正すればいい?
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