為末大が考える東京パラリンピックの可能性 オリンピアンとは違った迫力と魅力

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2012年 ロンドンパラリンピックの開会式(写真:アフロスポーツ)
当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

東京オリンピックが揺れている。個人的には、「何のために、どういうオリンピックを行うのか」という、本来ど真ん中にあるべき理念やコンセプトが共有されないまま、物事が進んでしまったことが原因だと思っている。この理念、コンセプトは、2020年以降、日本や世界がどうあるべきかという価値観を示すメッセージでもある。そこがバラバラのままでは、誰も共感することができない。

私は建築やデザインの専門家ではないが、少なくともザハ案の新国立競技場と佐野案のエンブレムから共通した何かを感じることはできなかった。東京オリンピックに関わるすべてのものが、同じ理念を伝えるべきではないだろうか。もちろん、まだやり直す時間はある。カタチではなく、理念から考え直してみるべきなのかもしれない。

パラリンピアンとオリンピアン

私は現在、義足の開発やパラリンピアンの強化などに携わっている。2009年、サンディエゴのオリンピックセンターで練習していたときに、多くのパラリンピアンと出会ったことがパラリンピックに興味を持つようになるきっかけだった。アメリカでは、戦場で負傷した退役軍人が多く、このオリンピックセンターで練習するアスリートのうち、およそ3分の1をパラリンピアンが占めていた。

日本では、パラリンピアンとオリンピアンは完全に別物だと考えられている。オリンピアンには勝利を求めるが、パラリンピアンに記録や勝敗を求めることをしない。「がんばれ」という気持ちが偽善だとは言わない。だが、彼らが負けたからといって怒ることはしないだろうし、新記録が出なかったからといって、落胆もしない。その時点で、アスリートとして扱っていないのと同じだ。サンディエゴで練習をしはじめのころは、私もパラリンピアンのことを「ハンディキャップがあるのにがんばっているな」と思っていた。だが、彼らと一緒に練習をしているうちに、そういった思いは消え去り、自分が狭い価値観のなかで生きてきたことを思い知った。

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