Jフロントがパルコを子会社化。「脱・百貨店」推進の原動力とできるかが今後の焦点
百貨店大手の大丸松坂屋百貨店を傘下に擁するJ.フロント リテイリングは、株式公開買い付け(TOB)を実施して、ファッションビル大手のパルコを子会社化する。会社が7月5日に発表した。奥田務会長兼CEOがかねてより標榜している「新・百貨店モデル」を推進するため、パルコの持つブランド発掘のノウハウなどを活用していく。
Jフロントは7月9日から8月20日まで、パルコを対象とするTOBを実施する。買い付け価格は1株当たり1100円。これは発表前日の7月4日までの直近1週間の終値単純平均値835円に31.74%のプレミアムを乗せた数値だ。
18.71%相当のパルコ転換社債を保有する日本政策投資銀行も、普通株式への転換を実施した後、当TOBに応じることで合意しており、現在33.22%のパルコ株を保有するJフロントが過半の株式を取得することは、ほぼ確実な見通しだ。ただ、上場維持を希望するパルコ側に配慮する形で、買い付け予定数の上限は約65%に設定された(買い付け後の所有割合が3分の2以上となる場合、応募株式すべてを買い付けることが義務づけられており、上場廃止に至る可能性があるため)。
パルコは下半期が始まる9月から連結化される見通し(Jフロントもパルコも2月決算)。売上高1430億円程度の上乗せ効果が見込まれ、Jフロントの今13年2月期売上高は1兆1160億円(前年同期比18.5%増)と4期ぶりに1兆円を回復しそうだ。
百貨店業界は15年連続のマイナスが続く構造不況のさなか。Jフロントは東急ハンズやポケモンセンター、若年女性向けブランドを集積した「うふふガールズ」など、運営業務を委託するテナント形式の店舗の誘致を積極的に進め、自社社員を極力減らす「新・百貨店モデル」を推進してきた。