【キーマンズ・インタビュー】グローバル展開で半世紀超の歴史、キヤノンの人事施策とは--大野和人・執行役員人事本部長に聞く
--日本人社員が海外赴任することは多いのでしょうか?
現在の日本人海外駐在員は約900人だ。アジア・オセアニアに約500人、ヨーロッパに約150人、アメリカに約250人が駐在している。ただし、私がアメリカに赴任していた20年前には400人ほどの日本人駐在員がアメリカにいた。グローバル化には初期、発展期、定着期とさまざまなフェーズがあるが、アメリカとヨーロッパではすでに定着期に入っており、日本から駐在員が大量に行く必要はなくなった。ヨーロッパを統括するのは、ロンドンにあるCanon Europe Ltd.だが、今年春には現地人がトップになった。
逆にアジアではグローバル化の発展期にあり、生産拠点を増強している。約500人の日本人駐在員がアジア各国に行っているが、技術者が現地工場に赴任しているケースが多い。海外赴任のローテーションは3~5年だ。
--キヤノンの新卒採用に関してお聞きします。語学力を重視されていますか?
一定のTOEICスコアを選考基準にする企業もあるが、キヤノンは語学力で人を判断しない。最も重視するのは人間力だ。人としての力、人間性だ。だから学生時代を通して何をやってきたかを面接では重視している。課外活動やボランティア活動など多様な学生がいる。
語学力を選考基準とはしていないが、結果的に入社する者の語学力は高いと思う。理由はいろいろある。帰国子女が多くなっているし、キヤノンの海外売上比率が8割と高いので海外で活躍したいと志望する学生が多い。
また大学の話を聞いても、学生への指導で語学力を重視している。その指導が功を奏しているのだろう。