まずはリアルな「縮原発」から「新エネルギー庁」の創設を

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東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、「脱原発」への世論が高まった。5月に北海道電力泊原発が定期検査のため運転停止したことで42年ぶりに国内の全原発停止となった。いまだ避難を強いられ、いつ帰宅できるかもわからない福島県民を思えば、国民の反応は当然といえる。しかも、いわゆる原子力ムラをめぐるさまざまな問題が噴出、原子力行政への信頼性は地に落ちた。

二極論からの脱却

しかし、その一方で、脱原発派が原発に代わる主力電源とする再生可能エネルギーは、現状、水力を除けば1%程度の発電実績しかない。10~20年程度で原発の代替電力になりえないことは、脱原発派の論客ですら十分に理解しているはずだ。送電網やガスパイプラインでつながっている欧州などと比べ、日本は圧倒的に不利な電力ネットワーク環境下にある。風力発電の候補地として有力とされる北海道から本州への送電網も極めて脆弱だ。

「大飯再稼働」には見切り発車の印象をぬぐえない。だが、そろそろ「脱原発」対「原発維持」の二極論から「リアルでポジティブな原発のたたみ方」(橘川武郎一橋大学教授)へ議論を移す時ではなかろうか。

政府のエネルギー・環境会議は2030年時点での原発比率について「0%」「15%」「20~25%」の3案を検討対象とすることを決めた。最終的には政府が示す原発の運転期間40年ルールなどを踏まえ、「15%がベースになる」(細野原発相)とみられる。

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