企業は新卒採用の質に満足していない--矢下茂雄・楽天みんなの就職事業長に聞く
--大手企業は採用に満足していますか?
数は取れても質には満足していない。
--質とはどういう意味ですか?
質とは大学のレベルではない。大手企業の人事担当者は内定者の大学のランクには不満を抱いていない。異業種志望の学生の応募が少なかったことが不満なのだ。例年に比べて人材のバリエーションが乏しかった。例えば、銀行であっても、商社やメーカー希望の学生からも採用したい。ところが、今年は銀行に銀行志望の学生ばかり集まってしまった。偏差値上位大学から採用できているので、表面的には採用がうまくいったように見えるが、人事担当者は満足していない。
--今年は同業内で採用を争ったということですね。
その通り。業界内の争いとなると、どうしても業界第1位の企業が優位となってしまう。学生は1位企業と2位企業に内定をもえらえば、1位企業に行く。今年はどの業界でも1位企業が楽勝で、2位以下が苦戦という状況だ。
これは就活期間が短くて企業研究が十分に出来なかったこととも関連する。1位と2位の差は規模の差だ。企業内容は必ずしも1位が2位よりも優れているとは限らないが、学生にはそこのところがわからない。
--大手企業以外の状況は?
中堅企業は採用できていない。また外食など学生にあまり人気のない業種では大手でも苦労している。こうした業種はエントリー数が前年よりも40%程度少ない。外食の中にも素晴らしい企業はあるのだが、学生の業界・企業研究が不十分であるため外食には応募が少ない。