関西電力の株主総会は大阪市の提案をことごとく否決も、橋下市長は「衰退産業の道を歩んでいる」と熱弁
関西電力の株主総会が6月27日に開催された。会場をこれまでの堂島リバーフォーラムから、より広い梅田芸術劇場へと変更して開かれたが、出席株主数は過去最高だった昨年の2244人を大きく上回り、3842人に達した。所要時間も同じく過去最長だった昨年の4時間51分を超えて5時間32分に及んだ。
発行済み株式数の8.9%を保有する筆頭株主の大阪市からの10議案を含めて、株主提案は過去最多の28議案。株主からの提案はすべて反対多数で否決され、可決は会社が提案した第1号議案「剰余金の処分の件」、第2号議案「取締役全員任期満了につき18名選任の件」の2議案のみだった。
株主からは、原発の安全性や再稼働、将来のエネルギーミックスなどについての質問や脱原発を求める意見などが相次いだ。やじと拍手が交錯したり、また議長(森詳介会長)の解任動議が出されるなど、荒れる場面もあった。
今回の総会に向けて、大阪市が株主提案した10項目の議案は以下のとおり。
第18号議案「経営の透明性の確保」
第19号議案「取締役の報酬に関する情報の個別開示」
第20号議案「電力需要の抑制と新たなサービスの展開」
第21号議案「社外取締役の責任免除」
第22号議案「代替電源の確保」
第23号議案「発送電分離を柱とする事業形態の革新」
第25号議案「社外取締役1名選任の件」
第26号議案「再就職受入の制限」
第27号議案「取締役定員の削減」
第28号議案「脱原発と安全性の確保」
注目の橋下徹・大阪市長は出席者質疑応答の3番目に質問に立ち、「関西電力はこのままではつぶれてしまうんではないかと大変危惧している。衰退産業が歩んでいった道を今、関西電力が歩んでいるものと感じている。いろいろな株主総会の経営者の説明を調べると、成長産業の経営陣は経営上の将来リスクをはっきりと株主に説明しているが、将来リスクの説明が不十分だ」と冒頭で指摘した。