自衛隊に迫る真の危機、誰が日本を守るのか

元隊員が明かす、内側から見た最大の懸念

士とは「2士」「1士」「士長」と呼ばれる下から3番目までの階級に属する自衛官の総称です。つまり、最も現場で働く隊員がまったく足りていません。伝令や警戒業務、雑務、総務などは、本来は士の階級に属する自衛官の任務ながら、代わりにそれが一定の中堅自衛官に集中する事態にもなっています。

士の階級に属する自衛官が足りていないのは、自衛隊に入隊する人が減少している証です。そして今回の安保法成立で、より危険度が増す可能性が高まる自衛官の採用難はさらに深まるかもしれません。

安保法案の審議に入った時から、国民の自衛隊に対する感情は変化していきました。以前PKO法案が可決した時、自衛隊の周辺では、自動車の爆破などテロ活動が起きていました。当時自衛官だった筆者は、「制服で外出すると危険だ」といわれ、私服で自衛官ということを隠して集団で行動するように指示されたのを覚えています。

設定されている定員数が、そもそも少ない

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ブルーインパルスによるアクロバット飛行。航空自衛隊の存在を知ってもらうために、航空祭などでアクロバット飛行を披露している

安保法の成立後、そうでなくても過労状態だった中堅クラスの自衛隊員は、「『早く辞めた者勝ち』という話が、下の者たちから聞こえてくる」と漏らしていました。隊員の家族からも今後を心配する声が多数聞こえてきます。

現在、自衛官募集を任務としている広報官は「本人が入隊したいと言っても両親が許さないケースが増えて、募集が一層困難になっている」「今後の自衛隊について聞かれた時に堂々と語れない」などと明かしています。

そもそも1950(昭和25)年にマッカーサー主導の下で警察予備隊が発足し、1954(昭和29年)に自衛隊が創設されてから今日に至るまで、つねに自衛官志願者は少ない状況にあります。創設前後に「自衛隊の定員は35万人が必要」という議論も一部であったようですが、徴兵制度でもない限りは現実的に考えて限界とされた25万人程度で設定され、その水準のまま60年以上が過ぎています。

一時の内閣による防衛費削減案によって、その定数すらも、「常備自衛官」ではなく「即応予備自衛官」と呼ばれる隊員で穴埋めされる状況にもなっています。即応予備自衛官とは通常は民間機関で働き、有事や災害時に招集される非常勤自衛官です。

筆者は自衛隊の採用試験にかかわった経験がありますが、強く印象に残っているのは3年ほど前。「今までの3倍の自衛官を採用したいので、身体検査ではなるべく不合格にしないように」という趣旨の話が内部で出回ったことがあります。

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