ベイスターズが「ハマスタ買収」に込める意志

負の循環を絶ち、横浜と野球の関係は変わる

しかし、ベイスターズの本拠地としてその存在を考えたとき、つねにこの契約問題が覆い被さり、解消できないままに暗い影を落としていた。

DeNAが買収後、どうなった?

2011年のオフにディーエヌエー(DeNA)が横浜ベイスターズを買収。球団経営に乗り出して最初に仕掛けたのが、株式会社横浜スタジアムとの契約の見直しだった。

7年間という長期の使用契約を結ぶことで、入場料収入に対する支払いを13%に引き下げるほか、球団に収入が入る広告枠の新設など、それまでの契約に歩み寄りが見られ、球団と球場による新しいパートナーシップを結んだ。

これにより、1978年の開場以来、ほとんど手が入れられてこなかった“ハマスタ”が、センター大型スコアボードやコンコース、選手ロッカーの改修、フィールドシートやボックスシートなどの新設、外野フェンス上部に広告スペースにもなる“リボンビジョン”の設置、常設の大型グッズショップの開店に、ナイター照明のLED化など、スタジアムの負担で段階的に大幅な改修工事を進めるなど、お互いにとって新たな展開を見せ始めていた。

DeNA参入前には観客動員数12球団最下位の110万人だったベイスターズは、この4年間で右肩上がりの成長ぶりを見せ、初年度には30億円近いと言われていた赤字額は昨年には約13億円程度に減少。この2015年は優勝した1998年以来の前半戦を首位で折り返す好調なチーム状況もあって、ハマスタ開場以来最多となる43回の満員御礼を記録し、観客動員数は181万人を突破。人気席種のチケットは即日完売。買いたくても買えないような状況は優勝した1998年以来の盛況と喩えられた。

しかし、である。収容人数2万7686人に対して、1試合平均入場者数2万5546人。毎試合9割方が埋まるほどの人気を持ってしても、球団でみれば5億円以上の赤字が出てしまうという現実は、もはや球団と球場で利益を分け合う現在の体制では限界点に達したと言わざるをえなかった。

このまま共存共栄を続けるには、黒字を続ける運営会社「株式会社横浜スタジアム」とベイスターズが一緒になるよりほかに道はなかった。球団が球場と一体になれば、主催興業でのベイスターズが生み出している13%の入場料、広告収入、販売収入がそのまま球団の収入として入るだけでなく、これまでベイスターズとは関係がなかったオフや遠征の期間にも、球場でコンサートなどのイベントを開くことで大幅な収入が見込めるようになるわけだ。

ただ、そんなことは以前からわかりきっていた。前親会社時代の末期、故・加地隆雄球団社長の代にも、スタジアムとの一体経営を目指した契約の見直しを図り、重なる交渉が行われてきたが、「TBSはやる気がない」と一刀両断にされ、両者がひとつになることは叶わなかった。やはり、閑古鳥が鳴き、万年最下位を続けていた以前のベイスターズでは、なかなかメスを入れることは難しかった情勢がある。

それだけに今回の「DeNAがハマスタを友好的に買収する」というニュースは、大幅に両者の関係が改善・進展したことをうかがわせる。背景には、DeNAが球団を持った2012年から「コミュニティー・ボールパーク化構想」の元に、年々その数を増やし、初年度から約65%もアップした観客動員数などの数字だけでなく、チームが成長していくにしたがって、「街にユニフォームを着た人間が増えてきた」「試合終わりに地元の飲食店が賑わうようになった」など、地元に寄与する成果が目に見えて現れ始めたことがある。

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