あす開催の関電株主総会の焦点、橋下徹・大阪市長はどう動く?

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発送電分離を柱とする事業形態の革新を求める第23号議案については、関電からは、第22号議案で天然ガス火力発電所の新増設、また第23号議案で送配電網の拡充につき提案する一方、発電部門もしくは送配電部門の売却について提案する内容は、「当社の事業継続を危うくし、企業価値を著しく毀損するおそれがある」と意見は対立する。
 
 議決権行使助言会社、日本プロクシーガバナンス研究所の吉岡洋二所長は、発送電分離にかかる第23号議案については「現在行われている国の議論を待ってから判断すればよい。現時点では発送電分離した場合の関電の企業価値算出が出来ない」と反対する一方で、「原発事業の経済的なリスクは一民間企業が負うには大きい」と、脱原発の第28号議案には賛同する助言を行ったという。

大阪市の提案は、元グーグルの村上憲郎氏を社外取締役とする第25号議案以外はすべて定款の一部変更が必要となるものであり、金融機関などが多い関電の株主から、出席議決権の3分の2以上の賛成を得るのは容易ではない。

ただ、大阪市は4月27日に提案議案を提出した後、5月28日には10万株以上の大口保有者(約150人、合計で約3億2800万株)に書面で賛同を呼びかけ、6月に入ってからも、4日に前述の日本プロクシーガバナンス研究所およびISSの2社の議決権行使助言会社への働きかけを実施、7日以降も市の幹部が日本生命保険相互会社など約10社の主要株主を訪問、さらに15日にも再度、大口保有者に「中長期的な観点から、経営体質の強化、安定化につながり、株主利益にも資する」と書面を送付するなど、提案への賛同を求める取り組みを積み重ねてきた。

昨年の株主総会では、株主からの提案は最大でも取締役定数削減を求める議案が5%の賛同を得るにとどまった。大阪市として初めて提出した株主提案がどれだけの賛同を得られるか。当日の株主と経営陣との質疑応答と並んで注目される。

(水落 隆博、撮影:ヒラオカスタジオ =東洋経済オンライン)

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