マンション販売現場はこんな状態でも強気だ 広がる「杭打ち不正問題」の影響を探る

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杭打ち問題に揺れるマンションの販売現場だが・・・(写真:天望 写楽 / PIXTA)

マンション販売大手・三井不動産レジデンシャルのマンションで発覚した杭打問題は、10年前の「姉歯事件」以来の大スキャンダルに発展した。杭打ちの業界団体であるコンクリートパイル建設技術協会が11月27日に発表したところによると、杭打ちデータの改ざんは旭化成建材以外に、正会員40社中6社で発覚。さらに増える可能性があるという。

マンションへの不信感が再燃したことで、懸念されるのが販売への影響だ。いま、マンションの販売現場はどうなっているのか。週刊東洋経済は12月5日号(11月30日発売)で『これからのマンション選び』を特集。欠陥マンション問題を総まくりした。

渦中の三井不動産に取材すると「杭に関する問い合わせは多いが、まだ時間がたっていないので、今のところ販売の減速を示すようなデータはない」との回答だった。ほかのマンション販売会社に取材しても、どこも申し合わせたように同じような見解を示している。しかし、これを鵜呑みにはできない。仮に影響がないとしても、どうやって客を納得させているのだろうか。

「影響は出ていない」

取材班がこの日、取材したマンション販売会社も同じ回答だった。その帰り道、たまたま受け取ったティッシュ広告にはマンションモデルルームの案内が入っていた。取材班はそのまま客を装ってマンションのモデルルームを取材することにした。

杭問題もセールストークのネタに

週刊東洋経済12月5日号(11月30日発売)の特集は『これからのマンション選び』です。欠陥マンション問題をはじめ、マンションブランド・ランキングなどを収録。上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

訪れたのは東京・渋谷区のモデルルーム。営業担当者に、杭問題後の客の反応をそれとなく聞いてみる。「女性は杭のことに過敏になっている方もいますが、男性は皆さまそんなに気にしませんね。説明すればご理解いただけますし」。説明の真偽は定かではないが、なるほど、男性心理をうまく突いてくる。こう言われてしまうと、男性としては、杭のことに突っ込みにくい。

さらに、「このマンションはいま杭工事をしています。施工会社が血まなこになってミスを出さないようにやっていますから、逆に安心ですよ」とたたみかける。会社が用意した想定問答なのか、この担当者なりの話術なのかはわからないが、落ち着き払った様子だ。杭問題によって売れ残りが増えていないか、値引き販売が引き出せないか、と頑張ってみたが、期待できそうになかった。

次に訪れたのは、杭問題が発生した横浜のマンションと同じ、三井不動産レジデンシャルの「パークシティ」ブランドのモデルルーム。東京・中央区のマンションで、川沿いの埋め立て地に建つため、杭による安全確保の必要性は特に高そうだ。杭工事が終わり、その上の基礎工事を進めている最中だった。

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