ソーシャルゲーム健全化に向け経験を生かしたい--カプコン辻本社長に聞くゲーム業界の行く末
--家庭用ゲームの人気が根強い海外において、携帯用ソーシャルゲームは通用するのか。
海外では、高画質で高品質の家庭用ゲームに対するニーズが依然として高い。とはいえ、ソーシャルゲームが通用しないとは見ておらず、両方とも成長余力はあるはずだ。
当社が展開するソーシャルゲームは、従来のカプコンブランドと、11年4月に立ち上げたセカンドブランド「ビーライン」の二本立て。「ビーライン」で展開するタイトルについては、国内外合わせて5600万件のダウンロード数を突破し、海外でも通用することをすでに証明した。
「ビーライン」は、「スマーフ・ビレッジ」などアニメキャラクターを活用し、親子三世代でも楽しめる作りとしている。こちらはアップル、グーグルのアプリマーケットに展開している。一方、カプコンブランドは、「バイオハザード」や「戦国BASARA」などをグリー、ディー・エヌ・エー向けに展開している。こちらは男性のユーザー層が多いのが特徴だ。
--日本ではコンプガチャが問題となり、7月1日から規制が始まる。
コンプガチャはほとんどやっていなかったので、そこに限って実務上の影響はない。ただ、コンプガチャを皮切りに、行政の指導が入ってくるという観測については、懸念している。
これまでゲームには、業務用は別にして、家庭用には行政指導はなかった。規制が入ることによって、今後の成長に対し、何らかの影響を及ぼす可能性は否定できない。
--さらなる規制については、各社の見方が分かれる。
見方が分かれていたとしても、業界が一団とならないといけないだろう。ディー・エヌ・エー、グリーも家庭用ゲーム向けソフトメーカー中心に結成されたCESA(コンピュータエンターテインメント協会)に最近入ったが、理事にはなっていない。結果として、これまでCESAに対するソーシャルゲーム業界の問題提起はなされてきていない。CESA内部の議論も少なかった。
ただ、今は思いのほか行政のいろんな動きがあるので、対応していかなければならない。その点、CESAはゲーム脳やバイオレンスの問題など社会からのバッシングに対して色々経験している。自分たちで規律を守ってきたという実績があるので、それを生かしていくことで、ソーシャルゲーム業界も健全化に向け動きやすくなるだろう。