トヨタ豊田章男社長に学ぶトップのコミュ術 部下への接し方「黄金の3原則」とは?

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ブログは、豊田社長の「車のすばらしさを直接、ユーザーに伝えたい」という気持ちから始まったもので、本名も肩書きも明かさず、自らの思いを自らの言葉で素直に、謙虚につづっている。

豊田社長といえば、トヨタ自動車の創業者豊田喜一郎氏の直系の孫。日本の産業界の「徳川家」のような由緒正しき血筋なわけだ。だからといって、それを笠に着るわけでもない。

逆に、彼自身、その出自ゆえの「ボンボンだから何もわからないはず」という偏見を「呪縛」とみなし、もがいていた。あえて、「奥の院」を飛び出し、自ら耐久レースやラリーに出たり、暇があれば生産現場に足を運んだり、テレビ番組の企画で、マツコ・デラックスが工場に訪問してくれば、自らガイド役を買って何時間でも相手をしたり……。「お殿様」として特別視されることを厭い、その目線も語り口も、とことん「お茶の間」レベルだ。

にじみ出るトップの「品格」

ただ、本人がその意識をせずとも、にじみ出るトップの「品格」というものがある。心理学でいうところの「ハロー効果」もあるだろう。ハロー、英語ではHalo(ヘイロー)というが、「後光」と言う意味。「ある対象を評価するときに、最も目立つ特徴によって他の特徴についての評価が影響を受ける」ことで、たとえば、学歴や外見、家柄で、ほかの評価も決まってしまう、ということだ。

ただし、創業家の二代目、三代目が必ずしも、この「後光効果」を生かし切れるとは限らない。「後光」だけが強すぎれば、「単なる逆光」にしかならない。「後光」に負けない、自分らしい輝きが真のリーダーには必要だ。

リーダーとしての輝きとは何か。リーダーの必要条件として、昨今、欧米で注目されるのが「Gravitas」(グラビタス)だ。ローマ時代に語源を発し、gravity(引力)と同根とされるこの言葉、リーダーとしての風格、威厳、重み、高潔さとでも言おうか。まさに、人を惹きつける「引力」といえるだろう。

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