松下幸之助は「天地自然の理」を重んじた 雨が降っても傘を差さない経営者が多い

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雨が降れば傘を差す。そうすればぬれないですむ。それは天地自然の理に順応した姿で、いわばごく平凡なことである。商売、経営に発展の秘訣があるとすれば、それはその平凡なことをごく当たり前にやるということに尽きるのではないか。

具体的に言えば、100円で仕入れたものは適正利益を加えてお客さまが買ってくれると思われる価格、百数十円で売る。売ったものの代金はきちんと集金する。

雨が降るのに、傘も差さずにぬれ放題というのは、よほど奇矯(ききょう)な人でなければやらない。ところが松下が長年の体験のなかで見ていると、商売や経営のこととなると、どうも当たり前のことをやらない人がちょくちょくいる。集金をきちんとしないで銀行から足りない資金を借りようとする。傘も差さずに歩き出す人が多い。非常に成功している人と、失敗した人を比べてみると、そこに理由がある。

経営でも当たり前のことが重要

雨が降れば傘を差す、暑くなれば薄着になる、寒くなれば厚着になる。天地自然の理というと硬くなるが、すなわち当たり前のことを日々やっていくということである。それを着実に実行していくならば、仕事なり経営というものは、もともと成功するようになっている。

「取引先のうまくいっていないところをみるとな、やはりその店主の力以上のことをやっているんやな。ほとんど例外なしと言っていいほど、自分の力以上のことをやっているんや。それに対して、うまくいっているところは、その店主の力の範囲で仕事をしておったな。たくさんの得意先がおったから、それがよくわかるんや」と教えてもらったことがある。会社が失敗したのは、不景気が原因だとかいろいろ人は説明するが、その経営者のものの考え方が、地に足がついていない場合が非常に多かったというのである。

志はもちろん大切だが、その一方で日々当たり前のことを積み重ねながら、実力を蓄えていくことが大切であるということであろう。

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