大阪ダブル選、真の勝者は橋下徹氏ではない 安倍政権に抗する野党再編は完全ブレーキ

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同日午後2時から開かれた記者会見では、新党結成を急ぐ松野氏に対し、小野氏はやや慎重と差異を見せた。彼らと袂を分かったおおさか維新の会についても、松野氏が「円満な解決を目指してきた」と述べたが、小野氏は「会社の乗っ取り劇みたいな、実態のないものをいつまでやっているのか」と手厳しさが目立っている。

小野氏は午後4時から有楽町駅前で行われた街宣でも、おおさか維新の会を「安倍政権の別働隊」「特徴は安倍首相に近いこと、菅官房長官に近いこと」と斬って捨てた。そのトーンは23日に江田氏が「(おおさか維新の会は)都構想のために安倍官邸に足を向けて寝られない」と揶揄したこととほぼ重なる。

維新の党のスタンスとしてわかりやすいのは小野氏の方だろう。しかし、党内情勢は現代表の松野氏に有利なようだ。「やはり代表は(参院議員ではなく)衆院議員に限る」――。維新の党の議員からはそんな声が聞かれる。松野氏は熊本1区で自民党の木原稔氏に敗退しており、比例復活組。それでも衆院議員には重みがあるというのだ。

参院選全国区選出の小野氏の弱点は、知名度の低さだ。2010年の参院選ではみんなの党ブームに乗って当選したが、個人名では4万3012票しかとれていない。そのせいもあるのだろう、街宣に関心を抱いて足を止める人はほとんどいなかった。そもそも党員でなければ投票権はないのだから、仕方ないかもしれない。

大阪での橋下人気は健在

ダブル選の大勝利に酔いしれるおおさか維新の会とは大きな違いだ。大阪では「維新人気」は健在なのである。

「すごい人の波だった。とりわけ16日の月曜日から、大阪市以外の市議らが大挙して選挙事務所に押し寄せてきた」――東京から大阪市内に応援に入ったおおさか維新の会の関係者は、当時の様子をこう解説する。「とりわけ人気だったのはもちろん橋下氏。橋下氏が街宣車の上で演説すると、熱烈な橋下ファンが『やっぱり橋下さんは出馬してはるやん。良かった、良かった』と嬉しがっていた」。

その熱狂さは、各メディアが11月14日と15日に行った世論調査を見ても明らかだ。いずれのデータも、松井一郎大阪府知事の圧倒的優勢と橋下徹大阪市長が後継指名した吉村洋文前衆院議員の躍進を示していた。

中でも関係者を驚愕させたのはJNNによる調査の数字だ。吉村氏支持が54.3%に対し、自民党推薦の柳本顕氏支持が34.6%にすぎなかったからだ。

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