疲弊する消防団、わずかな訓練・装備と報酬で危険な任務--震災が突きつけた、日本の課題《1》/吉田典史・ジャーナリスト

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疲弊する消防団、わずかな訓練・装備と報酬で危険な任務--震災が突きつけた、日本の課題《1》/吉田典史・ジャーナリスト

地域防災の要、「消防団」が疲弊している。東日本大震災によってその制度疲労がよりあらわになっている。

「震災を機に、消防団のあり方を見直すことが必要だ」

こう投げかけるのは防災研究者の松尾一郎氏(NPO法人環境防災総合政策研究機構理事)だ。2011年3月11日の東日本大震災発生以降、岩手県釜石市や宮古市、宮城県名取市などをはじめ、被災地各地で消防団員らに聞き取り調査を続けている。

総務省消防庁によると、東日本大震災で死亡した消防団員は252人、行方不明者2人(12年3月11日現在)。

消防団員は、各市町村の消防本部や消防署の署員とは、その身分が違う。団員は非常勤の特別職地方公務員であり、多くは自営業や会社員、農林水産業の従事者などだ。通常、消防団は自治体ごとに団が置かれ、おおむね小学校学区程度の地区ごとに分団が置かれている。そして班などの役割ごとの小組織に分かれる。

一方、消防本部や消防署は「常備消防」とも呼ばれ、署員は職業としてかかわる地方公務員だ。消防署員の死亡者は23人、行方不明者2人だった(12年3月11日現在、消防庁調べ)。

双方は組織のあり方、指揮命令系統、さらに報酬、出動や訓練などの手当、そして装備の面などで大きな違いがある。




■被災した消防団の自動車、震災直後、福島県南相馬市にて。提供:村田忍氏(2枚とも)

命が軽く扱われている、消防団員

 松尾氏(左写真)は「多くの消防団の装備は常備消防と比べ、整っていない。これが震災発生時に災いした」と指摘する。特に自費で購入した携帯電話、自家用車、救命具すらつけていない、法被(はっぴ)を着ただけの身なりを「命が軽く扱われている」として問題視する。

「団員の大半が、個別無線を持っていなかった。東北一帯で大規模な停電が起きていたから、携帯電話もつながらない。聞き取りをした団員の4割は、口頭で他の団員と連絡を取っていた」

震災当日、団員らは自宅や職場から屯所(詰め所)などに行くまでの間は、自動車のラジオで津波に関する情報を聞いていた。しかし、そこから先の活動、たとえば水門を閉鎖する際や、住民の避難誘導のときには正確な情報を得る手段がほとんどなかった。

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