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消えゆく「日本のシシャモ」と何度も資源回復する「北欧シシャモ」の決定的な違い

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  • 片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授
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資源管理によりV字回復を続けるアイスランド産。次のグラフは、それと対照的な北海道でのシシャモの漁獲量推移です。左のグラフで緑の丸で囲んだ1980年前後には、一時的に資源量が増えて、漁獲量が増えていました。しかし、そのチャンスを活かすことなく、再び漁獲量が減っています。

(出所)北海道庁のデータを基に筆者作成

その左のグラフの赤丸の部分を拡大したのが右のグラフです。単に漁獲量が右肩下がりになってきているだけであることがわかります。なおこのせっかく出てきた芽をつぶしてしまうパターンは、ニシン・ハタハタなどさまざまな魚種で起きています。なので全体の漁獲量が減り続けるのです。

アイスランドの資源調査

(出所)MRFI

上図の線はアイスランド近海で調査船や漁船が、資源調査をした海域を示しています。アイスランドのシシャモ漁は2月から3月にかけて行われます。

資源調査は漁期中も続けられます。3月15日というシシャモの産卵期が終わった時点において、95%という非常に高い確率でシシャモの親魚を11.4万トン残すというルールがあります。来遊量が増えれば、過去には追加で枠が発給される例が何度もありました。

なお、これは科学的根拠に基づいた増枠です。日本のスルメイカの増枠のケースのように、業者側からの要望で政治家を使って水産庁に圧力をかけて増枠するのとはわけが違うのです。

日本ではこうしたわかりやすく広範囲な資源調査がシシャモでは行われていません。漁獲量は決めているようです。しかしアイスランド・ノルウェーといった国々の基準からすれば、とっくに禁漁して回復を待ちます。科学的根拠によるTAC(漁獲可能量)の設定と、それを個別割当制度によって漁業者や漁船に配分する。この基本中の基本を行っていないと、どうしても乱獲が進んで魚が小型化し、最後には獲れなくなってしまうのです。

魚が消えていく原因を説明する記事に対して「漁業者が悪い」というコメントがよくつきます。しかしながら筆者はそう考えていません。悪いのは資源管理制度なのです。

次ページが続きます:
【「漁業者が悪い」ではない】

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