【専門医が解説】健康寿命延ばす《長寿菌》を殺す身近な食材! 100歳まで元気な長寿の腸を調べてわかった秘密とは

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腸内環境の乱れは、単なるお腹の不調にとどまりません。

なぜなら、腸が全身の代謝・免疫・血管・脳機能の司令塔として働いているからです。

腸が乱れると、腸粘膜のバリア機能が低下し、腸内細菌由来の毒素(LPS:リポ多糖)や未消化の食物が血中に入り込みやすくなります。これが、慢性炎症を引き起こし、血管の内皮細胞を傷つけ、動脈硬化を進めます。また、炎症はインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを悪化させます。その結果、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病が進行しやすくなるのです。

さらに、この慢性炎症は脳の神経細胞の働きを鈍らせ、認知機能低下や抑うつ傾向を招きます。同時に、筋肉では炎症性サイトカインが筋タンパクの分解を促進し、サルコペニア(加齢性の筋肉減少)を加速させます。

つまり、腸内環境の悪化は「血管・代謝・脳・筋肉」という老化の主要ターゲットを同時に蝕んでいくのです。逆に、腸内環境を整え、炎症を抑えることは、生活習慣病の予防であると同時に、老化の進行そのものを遅らせる有効的な戦略でもあります。

発酵食品や発酵性食物繊維が「長寿菌」を育てる

長寿者の腸内環境に共通する特徴は、特定の菌を摂っていることではなく、腸内細菌が育ちやすい環境が整っている点にあります。

その環境づくりの中心となるのが発酵性食物繊維です。

発酵性食物繊維とは、腸内でビフィズス菌や酪酸産生菌などの「長寿菌」のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を支えます。大麦やごぼう、玉ねぎ、海藻、雑穀、冷やご飯などは代表的な食材です。

発酵性食物繊維を継続的に摂取することで酪酸産生菌(長寿菌)を増やし、腸内炎症を抑制することが報告されています。(※4)

(※4)Dalile:Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology, 2019

合わせて注目したいのが、日本古来の食文化です。

味噌、納豆、ぬか漬け、醤油、麹、酒粕、甘酒といった伝統的な発酵食品は、それ自体が腸内細菌として定着することと、腸内環境を整え、発酵性食物繊維が有効に使われる「土壌」をつくる役割を果たします。特に味噌や納豆は、腸内を弱酸性に保ち、長寿菌が働きやすい環境を支えます。

このように、長寿菌はサプリメントで増やすものではなく、発酵食品や発酵性食物繊維によって“育てる”ものなのです。

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