スノーホワイト(Snow White & the Huntsman)--ドイツは不況か、好況か《宿輪純一のシネマ経済学》

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当然、スノーホワイトも追放される。そこでハンツマン(クリス・ヘムズワース)が登場し、彼女を守り、森で生きていくためのすべを教える。スノーホワイトは「7人の小人」などと協力し、最終的には王妃をと対決する。

アクションを交えた現代版リメイクであり、戦闘シーンも見どころ。こういうのもなんだが、スノーホワイトよりも、王妃(下写真)のほうがきれいに見えてしまうのは筆者だけだろうか。



© 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.

さて、グリム童話といえば、欧州ドイツである。ドイツ経済は力強い成長を続けている。IMFによれば経済成長率は2006年3.9%、07年3.4%、リーマンショックで08年0.8%、そして続く09年−5.1%となったが、10年3.6%、昨年の11年も3.1%(!)、今年はさすがに0.6%(予想)となっている。

ドイツは中国・米国と並ぶ世界最大級の輸出大国であり、国内で生産して輸出を重視する政策を明確に国策として打ち出している。今年は欧州債務危機の影響で低い成長になるようだが、経済危機がなければ3%以上の成長を続けることができる実力を持つ。

ドイツの輸出を考えるときは、対ユーロ域外と対ユーロ域内の2つに分けて考える必要がある。対ユーロ域外では、欧州債務危機によるユーロ安の恩恵を受けているわけである。ドイツのライバル国の日本が円高で苦しんでいるのと対照的である。

また対ユーロ域内では、通貨の障壁がなくなったユーロ圏内は基本的に自由競争の世界であり、産業力の強いドイツなどが、南欧向けに輸出を伸ばした。これによってユーロ圏内でも格差が広がったのである。ギリシャをはじめとした南欧の経済問題は、借金を削減し、資金を供与すれば“一時的には”楽になるが、また同じことが起こる。経済の競争力強化が必要不可欠なのである。

ドイツへは仕事で行くことも多いが、国民性は大変、まじめ(勤勉)である。銀行は朝8時から開くし、ほとんどの場合、時間をみな守る。最近、「まじめさが大事」ということをよく聞くが、本当に重要なのは「“何に対して”まじめなのか」ということではないか、と思う。

仕事においても、人生においても、そして、経営や経済運営でもそうではないか。言われたことをただやるだけが「まじめ」ということではないと思う。さまざまなこの世の問題の一部はそのような漠然とした言葉の定義をはっきりさせることで、ある程度解決できると考えている。もちろん、一般論としてだが、やる気のない人や、嫌がらせばかりするネガティブな人も問題外であるが。

『スノーホワイト』
6月15日(金)より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
© 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.

しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(5年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。

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