「下町ロケット」半沢と似て非なる熱狂の裏側

TBS常勝チームのキーマンがすべてを明かす

――小さな工場も含めて技術者が日本を支えている。

銀行員の半沢直樹もそういう人たちを応援している。池井戸さんのスタンスが基本的にそうですね。

――今回の下町ロケットの物語は、半沢直樹と同じように、善悪の対立軸がはっきりした勧善懲悪の構図が明快な点が支持されているといわれています。

見るからに悪いヤツが出てくる。「この人は悪い」ということを説明するために、別の登場人物AとBがそのことについて話しているような、普通のドラマにある余計な説明のシーンは入れていません。「初めから悪役って一目でわかる」とインターネットで批判されているようですが、大事なストーリーを置いておいて、人の説明に時間を取られていると、視聴者が作品に入り込めませんから。

物語のテンポはとても重要

リアリティにこだわり、ロケットを作る現場は、実際に見学に行った

――物語のスピード感にもつながりますね。

おカネを払って観る映画は途中がつまらなくても見るかもしれませんが、テレビは面白くなかったらすぐにチャンネルを変えられてしまう。だからテンポはとても大事です。

池井戸さんの原作が持つ世界観も、やっぱり継承しなければなりません。1つの場面を1ページくらい使って細かく表現する小説家もいらっしゃいますが、池井戸さんの原作にはそういうところがいっさいない。

下町ロケットの作中でも、ロケット開発をしている帝国重工という大企業の年商や従業員数、拠点網などを延々とセリフで説明していたら、視聴者は疲れてしまう。だから一発で「すごいんだ」というところを見せるような映像をつくっています。

――そうしたわかりやすさを重視しつつも、リアリティについてはこだわりがある印象を受けました。

ロケットを作る現場は、実際に見学に行きました。とてつもなく大きな工場で、たとえばエンジンは、私たちが入れないような真っ白なクリーンルームの環境でつくっている。真っ白なのは汚れが目立つようにするためなのですが、だったらドラマでもリアリティを出すために、本当に真っ白な工場を再現しました。

ほかにも佃製作所が帝国重工を相手に精巧な技術力を見せつけるシーンがあります。あまり細かいところまではやれないものの、ねじ1本だけでも穴を開ける技術はスゴいことなんだというところは、見せ方を工夫しました。「それは実際にないだろう」というシーンはなく、事実に即しているところで視聴者がひと目でわかるように映像化していっています。

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