「茶々の妊娠が順調であるとのことは、承知した。結構なことである。私はもう子供はほしくないので、寧々もそう心得ておいてくれ」
茶々が妊娠したのは2度目のことで、最初に鶴松という子が生まれるが、早世している。
もうあんな失意は味わいたくない。そんな思いはあったにせよ「子どもが欲しくない」というのは、最も古くから秀吉に付き添ってくれた、寧々への思いやりに違いない。
豊臣政権内で重要な役割を与えられていた寧々
秀吉は茶々を寵愛しながらも、その一方で寧々を信頼し、茶々とは異なる役割を与えていた。
例えば、小田原攻めのときには茶々だけを連れて行ったが、寧々には聚楽城に残ってもらわなければならない事情があった。人質として集めた諸大名の妻子を監視する役割を、秀吉は寧々に与えている。
また聚楽城に残した大事な鶴松を育てることも、また寧々に託された役割だった。秀吉の死後には、茶々と寧々がともに秀頼をサポートするべく連携したことからも、2人はともに秀吉を支えた戦友のような関係だったといえよう。
秀吉の寵愛を受けた茶々に嫉妬する女性は数多くいたが、日頃から秀吉に特別視されていた寧々は、そうした感情とは無縁だったようだ。秀吉がどれだけ出世しても、最初の正室としての寧々の立場は揺らぐことがなかった。
弟の秀長と同様に、寧々もまた、秀吉にとって大切なパートナーとして存在感を発揮し続けたのである。
【参考文献】
染谷光廣著『秀吉の手紙を読む』(吉川弘文館)
小和田哲男著『戦国武将の手紙を読む 浮かびあがる人間模様』(中公新書)
吉本健二著『戦国武将からの手紙 乱世を生きた男たちの素顔』(学研M文庫)
杉山博編『多聞院日記索引』(角川書店)
竹内理三編『史料大成多聞院日記〈全5巻〉』(臨川書店)
太田牛一著、中川太古訳『現代語訳 信長公記』(新人物文庫)
河内将芳著『図説 豊臣秀長 秀吉政権を支えた天下の柱石』(戎光祥出版)
柴裕之編『豊臣秀長 シリーズ・織豊大名の研究』(戎光祥出版)
新人物往来社編『豊臣秀長のすべて』(新人物往来社)
真山知幸著『企業として見た戦国大名』(彩図社)
真山知幸著『戦国最高のNo.2 豊臣秀長の人生と絆』(日本能率協会マネジメントセンター)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら