「競技一本の人生でいいのだろうか」——大学入試、スポーツ少女が下した決断。偏差値やブランド力より大事にしたもの

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だが、亜矢子さんは大学でも選手として続けたいという気持ちは強くあるものの、好きな勉強をしっかり続け、将来は教師になりたいという夢を持っていた。

そのため「もしも教師になったら、一般入試の経験がなくていいんだろうか? 生徒を教えるとき、説得力に欠けるんじゃないかな……」という考えも頭をよぎっていた。

さまざまな角度から考えた結果、スポーツ推薦は受けず、国立大学の入試に挑戦することを決意。併願先としてMARCHの一大学にも出願した。

志望校を決めてからの亜矢子さんは強かった。受験のための塾に通いたいと親に相談するようになっていく。

部活以外はすべて勉強に打ち込んだ。英語検定試験も取得したら入試に有利に働くと思い、英検にもチャレンジした。

しかし、このチャレンジに対して当初、部活動の顧問は冷ややかだった。試合に向けての練習と、英検や模擬試験が被ることが増えてきたからだ。顧問は当時母親にこんな言葉を投げている。

「英検なんか受けるんですか?!受けるやつなんて誰もいないですよ」

だが、顧問から冷たい言葉をかけられても、母親も亜矢子さんもめげなかった。高3の7月、英検2級を取得する。

私立と違って国立は共通テストで課される教科、科目数も多い。亜矢子さんが志望する大学は、ネットに出てくる偏差値としては40台の学部もある。

だがこれを、科目数の絞られる私立の偏差値帯と単純に比較することは難しい。ある程度名の知れた国立大学に合格するためには全方位的な力が必要となる。亜矢子さんはオンライン塾の利用も始めたものの、模試の成績はずっとE判定。そのまま、部活動もシーズンに突入してしまう。

「自分はできる」と強い気持ちを持って

そんな中、部活動中に亜矢子さんは骨折の大けがを負ってしまう。しばらくは薬を飲んでも痛みが治まらず、机に長時間向かうことは難しくなっていた。

「そんなに頑張って大学にいかなくてもいいじゃないか」

父親はつらそうな娘の姿を見ると、声を掛けずにはいられない。リハビリをしながら競技を続けようとする亜矢子さんに、祖母も「もう、部活は諦めたら?」と声をかけた。

だが、どうしても、亜矢子さんは2つとも譲る気持ちになれなかった。

中学生の頃は勉強ができないことで自信を失っていた亜矢子さん。だが高校生になるとチームをまとめるリーダー的存在となり、競技を通じていつのまにか、自分の意志を貫く度胸と強さを身に付けていた。

「自分はできる」、そう言って結局、12月半ばまで部活の遠征に参加した。

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