しかし進学先は、課題の多さで知られる進学校。ハードな部活動と勉強に追われる日々となった。亜矢子さんの部は強豪で、チームを率いる顧問は名監督として知られた人物。入学当初は、新しい環境での生活と部活動の厳しい練習、学業との両立が難しかった。
入学後初の定期考査では240人中上位1割ほどに入っていたものの、部活の大会が近くなり、練習が本格化すると、学業の成績はがくんと下がって低迷。高校生活に慣れるだけで1年はあっという間に終わってしまった。
高2になって、将来について本格的に考え始めた亜矢子さんは故郷を離れ、大学へ進学することを希望。心理士の資格を持つ母親は、心理学に加えて脳科学も学び、娘にとって最適な声かけや、サポートを行っていたという。
スポーツのトレーニングでも、イメージトレーニングが練習の約7割に匹敵する効果をもたらすという研究結果があるのだが、これは受験にも役立つ考えという人もいる。
実際にキャンパスを歩いて過ごしている自分を鮮明にイメージすると、脳が刺激され、快感物質のドーパミンが分泌されるというのだ。ドーパミンはやる気を起こす物質ともいわれているため、受験に対してもいいという理論だ。そこで母親は、いくつかの大学のキャンパスを娘と共に訪れることにした。
親子での“受験活動”を続けながら、競技にも打ち込む亜矢子さんは、インターハイに出場するなど、選手としても力を伸ばしはじめていた。
スポーツ推薦か一般入試か
3年生を迎えると、いよいよ志望校を絞りこまなければならない。学校の成績は悪くなく、インターハイの出場経験もあった亜矢子さんは一時期、スポーツ推薦を考えるように。実際に亜矢子さんの部活の先輩たちを見ても、推薦で大学進学を決めるケースが多かった。
部活動の顧問も、亜矢子さんが一般入試を受けることはないだろうと考えていた。高3でも引退はない部活で、共通テストの時期はまさにシーズンのど真ん中。こうした状況を考えると、一般入試との両立はかなり難しい。
そんな亜矢子さんの目にとまったのが、過去に先輩も入学していた都内最難関の私立大学だった。この大学では、選手として競技を続けながら、競技の力を伸ばす方法を学術的にも学べるため、またとない選択に思えた。
だが、ここで亜矢子さんの気持ちにブレーキがかかった。大学でも選手として続けたいという気持ちは強くあるものの、大学の専攻までもスポーツにしてしまってよいのだろうかという気がしたからだ。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら