高市首相は経済・外交政策を再構築する上できわめて強力な主導権を手にした、自衛隊の存在を正式に認める憲法改正に向けた前進も
高市氏は選挙戦の最中、円安を容認していると市場が受け止めた発言を行った。こうした印象は払拭しにくい。円には一段の下押し圧力がかかるとブルームバーグ・エコノミクスはみている。円相場は9日の取引序盤に大きく変動し、執筆時点では1ドル=157円50銭前後で推移していた。
為替レートが対ドルで160円に近づけば、日本の通貨当局の警戒感は一段と強まるだろう。一段と強力な口先介入が見込まれる。国債利回りは戦略分野での財政投資拡大への期待を背景に、上昇圧力にさらされた。
ただ、食料品に対する消費税減税の可能性を巡る市場の懸念は、高市氏の大勝を受けて和らぐとブルームバーグ・エコノミクスはみている。高市氏は減税に前向きな姿勢を示してきたものの、強く支持しているわけではなく、検討をより迅速に行うと述べるにとどまっている。
実際に減税に踏み切る場合でも、歳出削減を含む財源の慎重な精査を経る公算が大きいと考えられる。強力な政権基盤を得たことで、財源確保のための大胆な手順をとることが可能になると想定される。
外交政策
今回の選挙は高市氏に決定的な信任を与え、国内統治に対する明確な支持を示す結果となった。対外政策を進める上での裁量も広がった。選挙戦では外交政策も争点となったが、有権者の大半にとって最大の判断材料だった可能性は低い。それでも、これほどの圧勝は、高市氏の指導スタイルと、一段と自信に満ちた対外姿勢を志向する路線を正当化するものと受け止められるだろう。
その意味合いが最も大きいのが対中政策だ。中国政府は、高市氏の台湾に関する発言を受け、経済面での圧力を強めてきた。今回の選挙結果は、現行路線を維持する上で、高市氏の立場を強める可能性が高いとみられる。
焦点となるのは、中国が高市氏の権力基盤強化を阻止し、台湾政策や防衛政策の再考を迫る狙いで、日本に対する経済的な威圧をさらに強めるかどうかだ。高市氏が容易に譲歩する可能性は低い。ただ、トランプ米大統領と中国首脳との関係改善が進めば、高市氏の立場は複雑化する恐れがある。
対米政策について、ブルームバーグ・エコノミクスは大きな変更は見込んでいない。高市氏は同盟関係を引き続き最優先とし、選挙後のSNS投稿ではこれを「無限大」と表現した。
また、日米の貿易・投資協定の実行も継続する見通しだ。高市氏は選挙前に自身への支持を表明したトランプ氏との関係を深め、2国間関係を巡る幅広いリスクを抑えようとするだろう。3月19日にワシントンを訪問し、トランプ氏と会談する予定で、複数の投資案件が発表される可能性が高い。
今回の結果は、高市氏が進めてきた韓国への働きかけも後押しすると考えられる。進歩派の李在明大統領率いる韓国との関係で、総選挙圧勝による強い信任は、歴史問題を抑制しつつ、経済・防衛協力を深める余地を与える。一方で、靖国神社参拝や竹島問題を巡る対立が再燃すれば、緊張が急速に高まるリスクは残る。当面は、現実的な対応を続けるとブルームバーグ・エコノミクスはみている。
著者:エコノミスト・アナリスト:木村太郎、Adam Farrar
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