第5次ブーム!「ガチャガチャ」はなぜ成り立つか/バンドリング販売の経済学から読み解くカプセルトイ人気、ガチャガチャは「悪」ではない

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以上の議論から、ガチャガチャは企業にとっても消費者にとっても一定の合理性を持つ販売方式であることがわかる。

企業はバラ売りよりも効率的に商品を販売でき、消費者は自分の予算とペースに合わせて購入できる。少額で繰り返せるからこそ、結果のブレは小さくなり、心理的なハードルも低い。

もちろん、これはガチャガチャに問題がないという意味ではない。人気商品の確率が極端に低く設定されている場合や、確率が適切に表示されていない場合には、消費者が想定以上の出費を強いられる可能性がある。Chen et al.の研究でも、企業が確率を偽って表示した場合、消費者が大きな損失を被りうることが示されている。

望ましいガチャガチャの条件とは?

望ましいガチャガチャの条件としては、次のような点が挙げられるだろう。第1に、確率やラインナップの透明性が確保されていること。第2に、予算上限を作りやすい設計になっていること(たとえば「○回で必ずそろう」といった天井の設定など)。第3に、交換や二次流通が機能する余地があり、ダブりの痛みが緩和されること。

これらの条件が満たされていれば、ガチャガチャは健全な販売方式として機能しうる。

ガチャガチャを単純に「射幸心をあおる悪徳商法」と決めつけるのは、その経済学的な構造を見誤るおそれがある。

幼児から大人まで幅広い世代がガチャガチャを楽しんでいるのは、ギャンブル的な興奮を求めているからだけではない。ガチャガチャは、少額から楽しめるバンドリング販売の一形態であり、適切に設計・運用されれば、企業と消費者の双方にとって価値のある取引を実現できる仕組みなのである。

駅ナカのガチャガチャコーナーで足を止めたとき、そこにはちゃんと経済学的な合理性があることを思い出してほしい。

大竹 文雄 大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授

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おおたけ ふみお / Fumio Otake

1961年京都府生まれ。1983年京都大学経済学部卒業、1985年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年大阪大学経済学部助手、同社会経済研究所教授などを経て、2018年より大阪大学大学院経済学研究科教授。博士(経済学)。専門は労働経済学、行動経済学。2005年日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞、2006年エコノミスト賞(『日本の不平等』日本経済新聞社)、日本経済学会・石川賞、2008年日本学士院賞受賞。著書に『経済学的思考のセンス』『競争と公平感』『競争社会の歩き方』(いずれも中公新書)など。

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