第5次ブーム!「ガチャガチャ」はなぜ成り立つか/バンドリング販売の経済学から読み解くカプセルトイ人気、ガチャガチャは「悪」ではない
ガチャガチャが登場当初から「少額である」という点には、もう1つ重要な意味がある。行動経済学の観点から見ると、少額の賭けを何回も繰り返すことで、運(リスク)の要素が薄まっていくのだ。
たとえば、1回300円のガチャを10回回すことを考えよう。1回ごとの結果には当たり外れがあるが、回数が増えるほど、平均すると期待値に近い結果が得られやすくなる。
これは「大数の法則」と呼ばれる統計学の基本原理だ。少額の賭けを繰り返すほど、結果のブレは小さくなり、運の要素は薄まっていく。
コンプリートセットはやり直しがきかない
一方、1500円のコンプリートセットを一括購入する場合はどうか。これは1回きりの意思決定なので、「買ってみたら思ったほどよくなかった」というリスクが残る。やり直しがきかないのだ。つまり、一括購入(コンプリート)は、一回きりの大きい意思決定であるのに対し、ガチャガチャの反復は、小さい賭けを繰り返す意思決定ということになる。
これは仕事の選択にも似ている。もし仕事の選択が人生で一度きりなら、リスクを取ってやりたい仕事に挑戦する人は少ないだろう。やりたい仕事が確実に成果が得られる安定的なものならいいが、得てしてやりたい仕事とは夢を追いかけるようなリスクの高いものが多いだろう。失敗したら取り返しがつかないなら、人はリスクを取ろうとしない。
しかし、何回も挑戦できるなら話は違う。一度失敗しても、また別の仕事に挑戦できるなら、リスクを取ってやりたい仕事に挑戦する人も増えるだろう。何回もチャレンジできるのであれば、トータルで見たときのリスクは小さくなるのだ。ガチャガチャはまさにそれに近い。
ここで重要なのが、行動経済学で知られる「ナローブラケティング(狭いくくり)」(Benartzi, S. & Thaler, R.H.<1995>)の問題である。
人は複数の意思決定を統合して評価するのが苦手で、何回も続く一連の選択肢なのに1つひとつの選択を個別に判断しがちだ。繰り返し発生するリスクのある選択なのに、それがたった一回しかないように感じてしまう。これがナローブラケティングだ。
そのため、あたかも1回きりの意思決定だと思い込み、損失回避やリスク回避が過度に働いてしまう。「失敗したらどうしよう」という心理が、合理的な水準以上に購入をためらわせるのだ。


















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