第5次ブーム!「ガチャガチャ」はなぜ成り立つか/バンドリング販売の経済学から読み解くカプセルトイ人気、ガチャガチャは「悪」ではない
ガチャガチャは、この心理的なハードルを巧みに回避している。1回300円なら、仮に外れても大した損失ではない。ガチャガチャをする際に、一回しかできないと思い込む人はあまりいないだろう。少額なので何回かガチャガチャを回すことを覚悟で始める人が多いはずだ。300円という安さが、私たちに『まあ、数回やって平均すればいいか』という広い視野(ブロードブラケティング)を持たせてくれる。
実際、何回か回すうちに結果は平均化され、「運が悪かった」という後悔も薄れる。ナローブラケティングに陥らないほどの少額に価格が設定されているからこそ、消費者は過度なリスク回避に陥ることなく、気軽に参加できるのである。
少額から楽しめるという価値
ガチャガチャのもう1つの重要な特徴は、消費者の予算に対して柔軟であることだ。
理論上、すべての商品を一括販売する「コンプリートセット」は効率的な販売方式かもしれない。しかし現実には、すべての消費者がコンプリートを望んでいるわけではない。「1つだけ欲しい」「500円だけ使いたい」という消費者も多い。
コンプリートセットしか選択肢がなければ、こうした消費者からはまったく収益を得られない。一方、ガチャガチャは1回数百円から購入できるため、予算の大小にかかわらず、消費者は自分の予算の範囲内で楽しむことができる。
Chen et al.の研究でも、予算制約がある場合には、ガチャガチャが一括販売を大きく上回る収益を上げられることが示されている。
これは消費者にとっても利点だ。「ちょっとした楽しみ」として数百円を使い、運がよければ欲しいものが手に入る。小学生がお小遣いで回すことも、高校生が友達と一緒に回すこともできる。この手軽さが、ガチャガチャが幅広い層に支持される理由の1つだろう。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら