中国軍「実戦派トップ」を排除した習近平の暴走。軍の機能不全を承知でイエスマンを並べる"台湾侵攻"の危うい現実
権威主義国家のトップは自らの権力の正統性が弱いがゆえに、国民の不満の高まりを常に警戒しています。そして何より恐れるのが、最大の実力組織である軍の動向です。市民の反政府活動は治安部隊を使って抑えられても、軍が離反した場合には政権の転覆は避けられないためです。
トップ以外の権威はつぶされる
いわば軍は独裁政権を倒そうとする勢力にとって、最後のとりでなのです。このため中国や旧ソ連は、共産党による監視・統制のシステムを軍の組織に組み込み、離反の動きを防いできました。プーチン政権下のロシアでも、複数の治安機関を使って軍への監視を強めました。
戦闘で功績をあげたカリスマ的な将官は、特に厳しい警戒対象になりました。第2次大戦の独ソ戦の英雄であるジューコフ将軍は戦後、独裁者スターリンとフルシチョフの両指導者ににらまれて2度の失脚の憂き目にあいました。
軍隊では司令官の優劣が兵員の生死を左右する厳しい世界だけに、ポストを得ても戦勝の実績がなければ組織の掌握は困難です。その反面、戦闘での実績を持つ将官の影響力は絶大です。クーデターを起こす際の成否を分ける部隊員たちの信望も、実戦での功績によるカリスマで得られるのです。
今回失脚した張氏も1979年の中越戦争や84年の中越国境紛争で大きな軍功をあげました。その後、中国軍は実戦から40年以上遠ざかっており、同氏は実戦経験を持つ数少ない将軍の一人になっていました。
習氏も軍の統制に有用な張氏を長く重用してきました。台湾に対して軍事行動を展開する際にも、実戦経験を持つ張氏の存在は不可欠とみなされてきました。


















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