介護スタッフを小突く、夜間に歩きまわる…家族もつらい「認知症の行動・心理症状」を和らげる新薬への期待【専門医を取材】

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たかせクリニックでは、以前からBPSDが現れる患者に対して、抗精神病薬を処方してきた。だが、BPSDは抑えられても、強い眠気や意欲の低下といった副作用が大きく出てしまう。そんな問題から、「ジレンマだった」(髙瀬さん)という。

ところが、2024年9月から使えるようになったレキサルティは、従来の薬と比べると副作用が少なく、手足のふるえや筋肉のこわばり、体重増加なども出にくい。このため、「非薬物療法に取り組む環境を整えつつ、初期の段階からも使えるようになった」と髙瀬さんは歓迎する。

レキサルティの効果について、同院がまとめたレポートは以下の通り。

承認追加後の2024年9月24日からBPSDの治療を始めた11人(男性6人/女性5人・70代1人/80代8人/90代2人・自宅7人/施設4人)のうち、1カ月目の時点で暴言・暴力、ささいなことで怒り出す、もの取られ妄想といった症状が「著しく改善」したのは2人、「改善」は5人、「変わらなかった」は1人、「少し悪化」は2人、「悪化」は1人。

介護面では、3カ月目の時点で自宅と施設それぞれの介護者にアンケートを行ったところ、介護負担度の改善度が88%に達した。

副作用は、1週間目では傾眠(軽度の意識障害)の症状が出た人が1人、1カ月目ではよだれが1人、4カ月目では手のふるえが1人の計3人。傾眠の症状が出た患者は服用を続けながら経過観察、よだれと手のふるえが出た患者は、服用量を調整したうえで経過観察。いずれも改善したという。

「今回、レキサルティを処方したのはBPSDがかなり激しかった11人。結果、予想以上に効果があり、大きな副作用もなかった。レキサルティは過剰な鎮静を起こさないうえ、不安を背景とした焦燥感も和らげる。日常生活のなかでの過活動や攻撃的な言動も改善できている」(髙瀬さん)

これまでなかなかよい薬が見つからなかったBPSD。患者の暴言・暴力などのため、夜もゆっくり眠れないなど、負担も大きかった介護者にとっては、大きな福音だろう。

レキサルティ服用の注意点

ただ、使い方に注意したほうがいい点もあるようだ。髙瀬さんは言う。

「まず、人によって薬の効き方が違うため、特に最初の2週間は、薬が効きすぎていないか、副作用が出ていないか、薬がしっかりと効いていて夜中に落ち着いて眠れているかなどを、1~2日おきぐらいにモニタリングすることが必要です」

それには家族のほか、看護師、薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパーや家族などを含めた多職種での「チーム・モニタリング」が欠かせないという。

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