介護スタッフを小突く、夜間に歩きまわる…家族もつらい「認知症の行動・心理症状」を和らげる新薬への期待【専門医を取材】

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そのうえで、BPSDが落ち着いて本人と家族の気持ちがある程度安定してきたら、服用量を徐々に減らしつつ、非薬物療法のステージに入っていくという。

非薬物療法とは薬によらない治療のことで、冒頭で紹介したパーソン・センタード・ケアやユマニチュードなどがある。

2025年に9年ぶりに改訂された前述のガイドラインでは、「BPSDの管理においては非薬物療法が第一選択」と書かれている。

しかし、「当院に紹介されるときの患者さんは、包丁を振り回すなど切迫した状況である場合が多い。そんなときには家族も気が高ぶっていて、非薬物療法をやるような状態ではない。まずレキサルティで患者さんの症状を落ち着かせることが先決です」と髙瀬さんは言う。

髙瀬さんがレキサルティを評価しているのが、ほかの抗認知症薬や睡眠薬など、副作用の多い薬を減らしたり中止したりして、ポリファーマシー(多剤併用)解消も目指せる点だ。高齢者のなかでも、特に認知症患者は5~6種類以上の薬が処方されているポリファーマシーが多いからだ。

「それまでBPSDが原因で増えていた薬剤が、レキサルティの出現によって減量できる可能性が出てきました」(髙瀬さん)

話を最初の電話に戻す。

男性患者の妻の明るい声を聞いて、髙瀬さんもうれしそうに電話を切った。「2日間で改善したのはよかったけれど、1カ月目、2カ月目が勝負の分かれ目。今後もモニタリングを続け、今一緒に服用しているほかの薬もタイミングを見つけて減らしていきたい」と話した。

まずはかかりつけ医に相談を

家族がBPSDのため困っていて、レキサルティを希望する人にはこうアドバイスする。

「信頼関係があれば主治医に直接言ってもいいし、言いにくければ薬局薬剤師やケアマネジャーから話してもらうのもいい。『(前述の)ガイドラインを読みました』と伝えてもいいでしょう」(髙瀬さん)

井上 志津 ライター

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いのうえ しづ / Shizu Inoue

東京都生まれ。国際基督教大卒。1992年から2020年まで毎日新聞記者。現在、夕刊フジ、週刊エコノミストなどに執筆。福祉送迎バスの添乗員も務める。WOWOWシナリオ大賞優秀賞受賞。著書に『仕事もしたい 赤ちゃんもほしい 新聞記者の出産と育児の日記』(草思社)。

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