「モーニングは400円から…よし、100円からに変えよう!」 物価高に逆行、モーニングを値下げしたイケア。お得すぎるフードに秘められた賢い戦略

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なぜ、世界最大の家具販売店であるイケアが朝食に力を入れ、安さを打ち出すのか。その裏側には、緻密なマーケティング戦略と、家具を求める人々への深い洞察があった。

「階段式」価格がもたらすカスタマイズの妙

モーニング刷新の背景には、イケアが毎年掲げる“テーマ”がきっかけだったという。

2025年度(2024年9月〜2025年8月)のテーマは、「眠り」。このテーマに対して、同社のフード部門は何ができるかとディスカッションをした。その中で『お客様には心地よい睡眠をとった後、美味しい朝食を食べて、一日を豊かにしていただきたい』という思いに行きつき、メニューのリニューアルにつながったのである。

以前から実施されていたイケアのモーニングの価格帯は、400円、600円、800円という「階段式」だった。今回のリニューアルでは階段式を保ちつつ、100円、300円、600円とさらに安価な価格帯へとシフトしたのである。

そもそも、なぜ階段式なのだろうか? イケア・ジャパンのカントリーフードマネジャー、菊池武嗣さんは、次のように語る。

菊池 武嗣氏
菊池 武嗣(きくち たけつぐ)/イケア・ジャパン カントリー フードマネジャー 2013年に入社。IKEA 立川にて、フードマネジャーとしてキャリアをスタート。2015年からはカスタマー・リレーション・マネジャーを兼任し、顧客対応と店舗運営の両面で経験を積む。2019年には IKEA for Business 渋谷のマネジャーとして法人向けサービスを推進し、2021年からは IKEA 渋谷のディプティ・マーケット・マネジャーとして店舗全体の運営をリード。2023年6月より現職、カントリーフードマネジャーとして日本国内のフード部門を統括(写真:イケア提供)

「イケアは、『より快適な毎日を、より多くの方々に』というビジョンを掲げています。100円というところがクローズアップされがちではあるんですけれど、お客様の年齢やお財布事情など、あらゆる方々に楽しんでもらいたいと思っているからです」

つまり、「階段式」の価格戦略は顧客の窓口を広げ、幅広いニーズに対応できるようにしているのだ。例えば、モーニングの300円のラインでは、シナモンロールとゆで卵に加え、ハッシュドポテト、フライドチキン、プレーンソーセージ、ベジタブルメダリオン(野菜のパティ)の中からいずれか1つ選べるようになっている。

様々な組み合わせを提供することで、たとえ顧客が毎日来店したとしても、飽きずにリピートし続けてもらうことを狙っている。心地よい睡眠をサポートする寝具の提案と、満足感のある朝食。イケアはこれらをセットで提案することで、顧客の一日をトータルで豊かにすることを目指した。

顧客一人ひとりのお財布事情とその日の気分に寄り添い、誰にでも楽しんでもらえる選択肢を用意する。これについて菊池さんは、「人によって異なる、アフォーダビリティ(求めやすさ)に対応するためです」と語る。

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