ただし国費を投入するわけではなく、あくまでも民間企業による投資・融資・融資保証という形をとる。2つの政府系金融機関、JBIC(国際協力銀行)とNEXI(日本貿易保険)が資金面でバックアップする仕組みになっている。半導体や医薬品、エネルギーなど経済安全保障上、重要な分野を対象に日米が事業を行うという建て付けになっている。
とはいうものの、本件に対するツッコミどころは少なくない。まず、米最高裁がトランプ関税への訴訟を審理中であり、近く判決が出るとされている。仮に関税が違法とされた場合、それでも日本政府は対米投資を実行するのだろうか?
もちろん判決の中身にもよるけれども、現時点では違法判決となる公算が大である。その場合、「相互関税」の15%は取りやめとなるだろうが、「分野別関税」は訴訟の対象外なので、自動車関税や鉄鋼・アルミ関税はそのまま残る。日本としては、もともと25%だった自動車関税を、対米投資を約束することで15%に下げさせた経緯がある。ゆえに「予定通り合意を履行すべし」、と言われれば確かにそうかもしれない。
令和8年度予算でわかる「日本政府の本気モード」
違法判決が出た場合、ほかの国はどうするのだろう。昨年7月に日米が合意に至った後で、EUと韓国はまったく同じ「赤沢方式」でトランプ政権とディールし、対米投資の約束と引き換えに関税引き下げに成功した。
EUはその後、グリーンランドの問題をめぐって衝突し、トランプ大統領から関税による脅しを受けている。たぶん対米投資は、「なかったこと」にするだろう。韓国政府がどうするかはわからないが、北朝鮮など安全保障上の問題を考えると、今さら「ノー」とは言えないのではないだろうか。
この間、日本政府は対米投資に本気であるようだ。そのことは令和8年度予算に、JBICに7兆1827億円の財投債、NEXIに1兆7800億円の交付国債を措置したことを見てもわかる。両行の財政基盤を強化して、「戦略的投資イニシアティブ」の着実な実行を目指すというわけだ。「税金を投入しない」という建前ではあるけれども、やはり間接的には公的資金を使うのである。


















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