プロジェクトの選定に当たっては、先に触れた日米の「協議委員会」が案件の「ネタ出し」を行う。その結果を受けて、アメリカ側でラトニック商務長官を議長とする「投資委員会」が検討し、有望なプロジェクトを大統領に推薦する。トランプ大統領がOKを出すと、プロジェクトは正式決定となる。この仕組みは2029年1月19日まで、つまりトランプ大統領の任期いっぱい有効となる。
実務面では、まず日米でプロジェクト推進のためのSPV(特別目的事業体)を組成する。その上で日本側はJBICとNEXIが中心となって投資法人をつくり、必要な資金を用立てする。アメリカ側はおカネ以外のもの、土地や制度、条件面などを準備する。特に重要なのはオフテイク契約で、プロジェクトから生じる成果物を「向こう何年間、いくらくらいの値段で買うか」をあらかじめ決めておく。これでSPVから、安定的なキャッシュフローが生じることになる。
利益の分配に当たっては、おカネを出すJBICとNEXIは金融機関なので、貸した金は返してもらわないといけない。そこで元本を回収するまでは、利益を日米が50対50で分け合うことになる。それが終わった後は、9対1でアメリカ側が多く利益を取る。ここが「不平等条約」だと批判されている部分である。
「第1号案件」の有力候補・企業は?
参画する日本企業としては、公的資金を使えるメリットがあり、プロジェクトを推進する際に必要な資材を供給するチャンスも回ってくる。不満がないわけではないけれども、「割とよくできた仕組み」と言っていいのではないかと思う。
では、どんなプロジェクトが「第1号案件」となりそうなのか。ヒントになりそうなのは、昨年10月にトランプ大統領が訪日した際に、日米両政府が公表した「日米間の投資に関する共同ファクトシート」である。そこで挙がっていたのは、①エネルギー、②AI向け電源開発、③AIインフラ、④重要鉱物などであった。
やはり本命は、電力などのエネルギー関連であろう。アメリカではAIの開発競争が激化して、そのためのデータセンターの建設がラッシュになっている。そこで産業用の電力需要が高まり、家庭用の電力料金まで跳ね上がるといった事態が起きている。そこで日米が、アメリカ国内で電力事業を運営することが考えられる。日本側としては、電気代という形で料金を確実に回収できるのも好都合だ。


















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