AIで生活が楽になることは何を示すのか?→「深さの経済」の浸透によって、商品・サービス設計は大きく変わっていく
委任型消費の例は、本屋でも始まっている。
北海道砂川市のいわた書店が提供する「一万円選書」というサービスでは、プロフィールや悩み事などのアンケートに回答すると、店主の岩田さんがその人へのオススメの本を約1万円分チョイスし送ってくれる。
AIは用いないものの、これも委任型消費サービスの1つといえる。
普段は読まないような本との出会いがあることから、このサービスは好評で全国から依頼が殺到しているようだ。
購入者にとっては、どんな本が送られてくるか到着までまったくわからない。普通は読者が読みたい本を買うものだが、それを覆したサービス設計は非常にユニークだ。
AIで存在感が高まる「深さの経済」
先に紹介したスティッチ・フィックスのような委任型消費サービスは、AIの登場と密接な関係がある。AIは特定ユーザーとのインタラクションを通じて、その人の嗜好を学習できるため、オススメ商品を提案できるからだ。
筆者はこのような価値創出メカニズムを「深さの経済」と呼んでいる。
「深さの経済」とは何か。それは、個別ユーザーとのインタラクション数が増えれば増えるほど、AIがそのユーザーの嗜好やニーズを学習し(深掘りし)、提供サービスが個別化していくようなメカニズムのことである。
ちなみにこの経済は古くから存在している。
なじみの料理屋に行くと、店員さんが「いつもの」飲み物を出してくれたり、漫画サザエさんに登場する三河屋さんのように、注文を受けていないのに、(もうその商品を切らしているだろうと)気を利かせて商品を持参してくれたりする。
こうしたサービスも「深さの経済」である。
最近で言うなら、ECサイトなどで、AIがオススメの商品をレコメンドする機能が搭載されているが、そのユーザーをあるカテゴリーに分類し、そのカテゴリーの人が好む商品を推薦している。
しかし、その程度では、個別化のレベルがまだ「粗い」と言えるだろう。


















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