中国が旧日本軍の島嶼戦略を研究する背景には、台湾有事を見据えた現実的な作戦構想がある。中国指導部は、台湾をめぐる衝突は台湾周辺だけで完結するものではなく、その外側に広がる作戦空間が勝敗を左右すると認識している。とりわけ重視されているのが、「第1列島線」を突破した先に位置する「第2列島線」だ。
台湾有事と「第2列島線」の戦略的意味
小笠原諸島、グアム、サイパンなどを結ぶこの線は、米軍が西太平洋で作戦や補給を行う際の重要な拠点帯でもある。中国は台湾有事に際し、第2列島線までを含む広い作戦空間で米軍の増援や補給を阻止・制限することを重視しており、米軍がこの線を自由に使えるかどうかが、戦局を左右する分水嶺となる。
日本にとって重要なのは、この第2列島線の内側、あるいはその近傍に硫黄島や南鳥島といった自国の拠点が存在する点だ。台湾有事は、日本の太平洋正面そのものが作戦空間に組み込まれる可能性をはらんでいる。
中国の太平洋進出を受け、日本政府は太平洋正面での防衛態勢を現実的に見直し始めている。防衛省では、太平洋防衛に係る自衛隊の必要な体制について検討する「太平洋防衛構想室」(仮称)の4月設置を目指している。
実際の取り組みは、日本の離島で最も顕著に表れている。硫黄島は、浅い沿岸や地盤隆起の問題を抱えつつも、港湾や滑走路の強化を進める対象となっている。さらに、航空自衛隊は鹿児島県奄美市や沖縄県北大東村に移動式警戒管制レーダーを配備し、島嶼部での海空域監視態勢を強化している。
南鳥島は日本最東端の拠点として広大な太平洋の警戒監視に不可欠であり、南鳥島周辺の海域では希少資源の確認も進んでおり、防衛と経済安全保障の両面から注目される。


















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