それぞれに対して、どこの力がより歯に与える影響が大きいのか、患者さんごとにしっかり診断した上で、習慣の改善を図ることが大切です。では、歯が割れるのを防ぐためにやるべき対処法を順番に解説します。
まず、日中の食いしばりや歯を触れ合わせる癖(接触癖)についてです。食事中以外は上下の歯が離れ、顎の力は抜けているのが正常な状態で、「安静位」といいます。安静位をキープするときに注意すべきことが2つあります。1つは、舌が歯に触れていてはいけないこと。もう1つは、舌を上下の歯で噛まないこと。舌が歯に触れていると、矯正力がかかり、歯のポジションが変わってしまうからです。
食事中の噛み方で歯が割れる?
食事の際の自分の噛む力が、他人と比べて強いかどうかはわからないですよね?
でも、歯科医師は日々患者さんのお口の中を観察しているので、相対的に比べることができます。そうすると、噛み方が強い患者さんの破折をよく見かけるのです。
歯医者の中には「歯には“歯根膜”という圧力センサーのようなものがあるから、脳が調節をして、歯を割るような強い噛み方をするわけがない」と言う人もいますが、北海道大学出身の池田雅彦先生の研究で、歯根膜による反射があっても過度な力が歯にかかるケースがあるとわかっています。
臨床的な感覚では、小さい頃から強い力で噛み続けていると、適応反応で閾値(強い・弱いと感じる境界線)が上がるのだと感じます。これは幼少期に同じ食卓を囲んでいた大人の影響が大きく、子どもは無意識のうちにそばにいる大人の食べ方、噛み方をまねしてしまうのです。
食事中に上下の歯が当たりカチカチと音がする人は、噛むスピードや力が強すぎる証拠です。歯は、治療で削るときにダイヤモンドの粉末をまぶした器具を使うほど硬いので、どれほど硬い食べ物でも負けることはありません。ただし、歯と歯は同じ硬さなので、食べ物を噛み切った時に向かいの歯に勢いよくぶつかると、欠けたり割れたりします。
硬いものや歯ごたえのあるものが好きな方は特に注意が必要です。口に入れる段階で「硬いから勢いよく噛もう」と無意識に脳が判断するため、過度な力がかかりやすくなっています。


















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