4代目プリウス、4年に渡る汗と涙の開発秘話 「いい走り」で海外からの評価を得られるか

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豊田章男社長は就任以来、「もっといい車づくり」を最重要課題として掲げてきた。「いい車」の定義はあえて明確にされていないが、乗用車なら「走り」がその重要要素であることは間違いない。

トヨタが変わったというイメージを確立するにはプリウスを走れる車にする必要がある。「もっといい車づくり」とTNGAは表裏一体だ。TNGAはより魅力ある車を作るための手段である。

TNGA対応の新プラットホームによって新型プリウスの全高は現行より20ミリ低くなった。新しい溶接技術などの採用でボディのねじり剛性は60%強化された。これらはいずれも走りの良さに直結する要素だ。

モーターとエンジンの制御は、燃費向上の工夫を凝らしたと前述した。だが、燃費だけを追求したわけではない。気持ちよい加速感が得られるような、走りと燃費の二兎を追った調整を追求したという。

結果、「新型の走りは格段に良くなった」とトヨタ社内だけでなく、モータージャーナリストやディーラー社長など外部からの評価も上々だ。

キビキビ走り、静かさも段違い

その違いは素人にも歴然としていた。11月の中旬、新型「プリウス」を試乗する機会を得た。経済誌の自動車担当といってもドライバーとしては素人同然だが、その記者でも新型プリウスの走りの良さははっきりと体感できる。

上の現行プリウスは、燃費重視で走りを犠牲にした感が否めない。新型と比較するとその差は歴然だ

特に、新型と現行を乗り比べると、キビキビと気持ちよく走る新型に対し、現行は「かったるい」。車内の静かさのレベルが違う。低速時はモーター走行となるため現行でも相当静かだが、新型は静かすぎて微かに聞こえる音(おそらくインバーターの音)がむしろ気になったほどだ。

現行プリウスのユーザーもある豊島が「不満を払拭しただけではなく、感動のレベルに高めた」と自信を示す新型プリウス。日本は元より、海外でどういった評価を受けるのだろうか。
 

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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