タイム・バインド(時間の板挟み状態) 働く母親のワークライフバランス 仕事・家庭・子どもをめぐる真実 アーリー・ラッセル・ホックシールド著/坂口 緑、中野聡子、両角道代訳 ~家庭のあり方こそ考えさせられる

一方、家庭では評価されないだけでなく、事は思った通り運ばない。出勤前の朝だからこそ、子どもは駄々をこねるものだし、ときには熱も出す。仕事のように管理できず、大人の都合をかき乱す。しかも夫婦のように分かれるわけにもいかない。その結果、父親も母親も家庭から逃避するように長時間働きたがっていた。

労働が苦痛でしかないよりは、仕事の喜びを感じ、職場で誇りを持てるほうが幸せだろう。だが、これは子どもの犠牲のうえに成立しているという。少子化の中で女性の就労促進策が議論されるが、その前に家庭のあり方を考えなければならない。

翻訳も自然で読みやすく、米国の話とはいえ、読者の多くの人にとって否応なく自分の姿と重なるはずだ。

Arlie Russell Hochschild
米カリフォルニア大学バークレー校社会学部教授。専門は社会学。1940年生まれ。「感情労働」という概念を提唱した『管理される心-感情が商品になるとき』、『セカンド・シフト 第二の勤務-アメリカ 共働き革命のいま』などの著書で知られる。

明石書店 2940円 442ページ

  

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