「経済成長の正体は借金だった」という不都合な真実 銀行が「何もないところからお金を作る」カラクリ
この瞬間に、世界に新しいマネーが誕生する。
借り手のバランスシートには「預金(資産)」と「借入金(負債)」が同時に10万ドルずつ書き込まれることになる。
この「銀行融資の増加」こそが「新たなマネー」の正体であり、実際にアメリカでは2008年の金融危機以前まで、全マネーの90%以上がこのプロセスで創出されてきた。
中央銀行が行う公開市場操作などの「札を刷る」と形容される行為は、事実上の融資や資産の入れ替えに過ぎず、実態とは大きく異なるのである。
「良い借金」と「悪い借金」
もちろん、あらゆる借金が同じように経済に貢献するわけではない。債務は大きく2つのタイプに分けて考える必要がある。
1つ目は、食費、休暇、新築住宅の建設など、新規の製品やサービスの購入に使われる、支出のための借金だ。これを「タイプ1債務」と呼び、これらは直接的にGDPを押し上げる原動力となる。
2つ目は、既存の住宅や株式、あるいは事業の買収など、すでに存在している資産を購入するための借金である。これを「タイプ2債務」と呼び、これらは既存資産の所有権が移転するだけであるため、GDPの直接的な押し上げ効果は限定的だ。
ここで私たちが注目すべきなのは、現代経済において「債務は常にGDPを上回るスピードで増える」という冷酷な特性だ。
タイプ1債務はGDP成長と連動するが、そこに資産購入のためのタイプ2債務が上乗せされるため、総債務の伸びは一貫してGDPを上回る。アメリカのデータでは、1983年以降、資産購入のための債務はGDPの1.5倍の速さで成長し、今や民間債務の70%以上を占めている。
この過剰なレバレッジ(負債利用)が、一見豊かな資産価値の上昇をもたらす一方で、経済の脆弱性を高めているのである。


















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