原発事故15年目の最高裁判決、自主避難者への住宅供与打ち切りの"無法"を指弾した裁判長「反対意見」の意義

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東電による賠償は基本的に強制避難者だけが対象のため、国と福島県が自主避難者分の賠償請求をすれば、東電から支払いを拒否される可能性が高い。しかし自主避難者と言っても原発事故による避難であるため、国が最終的に負担する理屈が成り立たない。

また国が当初、みなし仮設住宅への受け入れを進めた経緯から、今さら自主避難者に支払いを求めるのも難しい。事故が起きた後になって避難指示(解除)基準を年間20ミリシーベルトにしたことで生じた矛盾だと言える。国と福島県は自らの難題を棚上げしたまま、自主避難者には責任を果たすよう求めているのだ。

東京・江東区の国家公務員宿舎東雲住宅(撮影:筆者)

最後に立法(政治)の不作為にも触れなければならない。

民主党政権時代の12年6月、「子ども・被災者生活支援法」が超党派の議員立法で成立した。自主避難者は安心して避難を続けるための拠り所になることをこの法律に期待したが、「年間1ミリシーベルト」の被曝限度を明記しないなど法律の目的が不明確で、中身にあたる施策の策定を復興庁に委ねたことから、自主避難者の望みがかなうことはなかった。

立法(政治)はその後、”死に体”となった同法を生き返らせることも、避難の継続を可能にする新たな法律を作ることもしなかった。「子ども・被災者生活支援法」は、立法府の責任を果たしたふりのアリバイでしかなかったのだ。

避難のための法整備は手つかず

三浦裁判長は次のように自らの反対意見を締めくくっている。

「原子力災害か否かに関わらず、著しく異常かつ激甚な非常災害により、多数の被災者の避難が広域かつ長期に及ぶ場合において、被災者の支援が、個別の事情を踏まえ、その必要性が継続する間確実に実施されるよう、その居住の安定に資するための措置について適切な仕組みの構築が望まれる」(原文ママ)

福島原発事故からまもなく15年。全国各地で原発が続々と再稼働する一方、再び事故が起きた際に安心して避難を続けるための法整備は手つかずのままだ。この国に、原発避難者を守り、責任を果たす覚悟はあるのだろうか。

日野 行介 調査報道記者・作家

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ひの こうすけ / Kousuke Hino

1975年生まれ。元毎日新聞記者。

社会部や特別報道部で福島第一原発事故の被災者政策や、原発再稼働をめぐる安全規制や避難計画の実相を暴く調査報道に従事。

『除染と国家 21世紀最悪の公共事業』(集英社新書)、『調査報道記者 国策の闇を暴く仕事』(明石書店)、『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』『福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞』(いずれも岩波新書) 、『原発棄民 フクシマ5年後の真実』(毎日新聞出版)、『双葉町 不屈の将 井戸川克隆』(平凡社)など著書多数。新著に『原発避難計画の虚構』(朝日新聞出版)

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