原発事故15年目の最高裁判決、自主避難者への住宅供与打ち切りの"無法"を指弾した裁判長「反対意見」の意義
自主避難者に対する「追い出し訴訟」における三浦裁判長の反対意見の趣旨は主に以下の2点である。
第1点として、自主避難者が住んでいる建物の使用許可を国から受ける形で、福島県が代わって”追い出し”を担った枠組みについて、「法制度の目的を逸脱している。福島県に建物の明渡しを求める資格はない」と断じた。福島県の原告適格を否定したのだ。
第2点として、16年度末での「打ち切り」の判断も「誤り」だと断じた。国が原発事故後に定めた年間20ミリシーベルトの避難指示(解除)基準について、「法令に基づく技術的基準ではない」と正当性を否定したのである。
そのうえで、17年3月末時点で福島県内の多くの市町村が年間1ミリシーベルトを基準とする除染区域に指定されたままであったことから、「区域外避難者についても避難の継続には合理的な根拠があり、(みなし)仮設住宅の供与の必要性を否定すべき理由はない。本件措置(17年3月末の供与終了)は社会通念上著しく妥当性を欠いている」と判断した。
原発避難に対応する法律がないのをいいことに、災害救助法の趣旨をねじまげて無理矢理適用し、自主避難者を一方的に追い出した国と福島県の「無法」を厳しく批判したのだ。
女性の代理人を務めた柳原敏夫弁護士は、「判決の結論は形式論にしがみついただけのものだが、三浦裁判長の反対意見は問題の本質に踏み込み、明快に被災者政策の矛盾や欺瞞を認めてくれた」と評価した。
家賃は東電に未請求、政治も無責任
国が策定した東電による賠償に関する中間指針では、避難指示区域からの強制(区域内)避難者の住宅費用は東電による賠償の対象とされ、避難先で住宅を購入した場合には賠償が上乗せされる。また福島県内の避難指示区域外に建設された復興公営住宅にも入居できる。いわば強制避難者は避難先での居住の安定が保障されている。
「みなし仮設住宅」の家賃も原発避難に伴う住宅費なので、当然ながら東電による賠償の対象になるはずだ。しかし事故から15年になろうというのに、家賃は国が立て替えたままで東電に賠償請求(求償)していない。
国と福島県はこれまでにかかった家賃の総額を明らかにしていない。ただ、福島県が15年度に計上した災害救助費は約288億円で、供与終了などで避難者が減り続けていることを考えると、総額でも2000億円ほどとみられる。東電がこれまで支払った賠償金が約11兆6500億円(26年1月現在)に上ることを踏まえれば、みなし仮設住宅の家賃を東電に賠償請求しない理由が「金額」ではないことは明白だ。
みなし仮設住宅の家賃求償について、国と福島県は12年度から協議を続けているが、いまだ決着がついていない。協議の内容は公開されていないが、自主避難者分の扱いがネックになっているとみられる。


















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