実利追求でトランプも一目置くメローニ伊首相のバランス外交が世界で注目を集めるワケ、アジア・インド太平洋地域との関係強化めざす

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アメリカよりはるかに古い歴史を持ち、原則論を持ち出すドイツ、先輩風を吹かせるフランス、ヨーロッパとは一線を画すブレグジットしたイギリスが絶えず主張する「特別な関係」は、時として煙たい存在だ。

メローニ氏は最近、欧州連合(EU)が合意した25年越しの南米南部共同市場(メルコスール)との自由貿易協定(FTA)について、当初はイタリアの農家を守るために反対していた。ところが25年暮れ、賛成に回った。

理由の一つはイタリアが得意とする工業製品やイタリアワインの南米への輸出が有利なことだったが、トランプ政権が中国の対南米投資拡大阻止を意識して25年末に打ち出した西半球に重点を置く外交政策に協力する姿勢を示す意義も読み取れる。

メルコスールとのFTAに反対してきたフランスでも、メディアはワインやチーズなど、フランス製加工食品の南米への輸出が追い風になると考える業界の意見も紹介し始めている。

トランプを誘導できる外交手腕

ただ、ブラジルをはじめ南米各国はトランプ政権が保護主義を強める中、アメリカ依存を縮小する動きを強め、その機を逃さない中国の投資拡大を阻止する目的もあり、EUはメルコスールとのFTA締結を急いでいる。

メローニ氏はまさにその先頭に立っている。フランスのマクロン氏や欧州委員会のフォンデアライエン委員長が上から目線でアメリカを批判するのとは対照的に、トランプ氏をうまく誘導して大西洋経済圏の復活を示している形だ。

メローニ氏は地中海に面した半島という地政学的な価値を最大化し、実利と影響力を拡大するため多層的、現実的外交を展開し、国内の産業界からも支持を集めている。

2008年のリーマンショックに続くギリシャの財政危機でユーロ圏が危機に陥った時、スペイン、イタリアはユーロ圏の劣等生で、次はどちらの国がギリシャ化するかと言われた。

しかしイギリスのブレグジット後、EU第3位の大国となったイタリアは、GDP(国内総生産)成長率そのものは極めて緩やか(25年は約0.4~0.5%程度と予測)だが、財政赤字は24年にGDP比3.4%、25年は3.0%と続き、26年はEUの財政安定成長協定のEUルール3%を順守できる見通しだ。

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