【国保逃れ】維新議員が突いた「保険制度」の致命的欠陥。真面目に払う者が馬鹿を見る実害

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一方、議員だけではなく、理事として受け入れた法人も利益を得るスキームだ。今回の件では当該の一般社団法人には700名もの理事がいたという。

仮にすべての理事がこうした勤務実態のない国保逃れの名ばかり理事とすれば、会費と法人が折半する保険料の差が月に2万円と仮定すると、2万円×700名×12カ月で、年間1億6800万円にもなる。なお、当該法人は報道に異議を呈し、活動実態があるとしている。

ネットを検索すると「マイクロ法人」の言葉がヒットした。家族や自分だけで運営する小規模な法人のことだが、今回のようなスキームを合法的に行う指南などだ。これは氷山の一角ではないのか。

月10万円もの保険料負担で「保険」と言えるか

不正はけしからんことだが、制度が本来の機能を果たしていなければその改革も必要だ。年間110万円、月に10万円近い保険料を取られる医療保険が保険と言えるのかという根本問題がある。

保険とは「一人は万人のために、万人は一人のために」という互助制度だ。不幸にもケガや病気になった人のために万人が少しずつお金を出し合って助けるシステムだ。公的医療保険制度はその出し合う金額を応能主義によって決めているが、それが極端だと「少し」にならず、保険加入の合理性を失わせてしまう。

一方、年金制度も、会社員などが入る厚生年金保険は応能主義だが、収めた保険料の総額で将来の受給額が決まる。国民年金にも付加年金、国民年金基金といった上乗せ制度があり、支払い保険料が高ければ、より多くの給付を受けられる仕組みだ。それに比べ、公的医療保険制度は保険料負担の差が医療費の負担割合に影響しない。

本件に関して、厚労省、年金事務所(日本年金機構)、保険者(運営者)からは情報発信がない。700名も理事がいる法人に何の疑問もなかったのであろうか。制度運営上の責任があろう。また、不正を叩くだけではなく、職域保険+地域保険(国民健康保険)という2本立ての皆保険制度のあり方が改めて問われているのではないか。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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