「経営の神様」にならなかった丹羽宇一郎氏となり損ねた永守重信氏、2人の経営者の"去り際"に透ける決定的な差

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このとき以来、永守氏は「自分の力だけでなく、目に見えない大きな力に守られている」と確信し、参拝を続けている。その目的について、永守氏は次のように話していた。

「神様は努力しない者には手を貸さないと考えています。そのため、これだけ努力しましたという報告と、今後こうしていきますという不退転の決意を、九頭竜大社で伝えることとしているのです」

永守氏は神の前で謙虚になることにより、運を引き寄せようとした。そして、九頭竜大社で不退転の決意を伝えることが、強いリーダーシップへつながっていった。

強いリーダーシップには大きな利点がある。それは「意思決定の速さ」だ。永守氏のM&A戦略も、決断の速さゆえに成功した面がある。

しかし、速さには代償がある。アクセルを全開にした車はブレーキが効きにくくなるように、成功体験を重ねた人間は冷静さを失いがちだ。

名経営者も逃れられない人間の宿命

スタンフォード大学のロバート・サポルスキー教授が指摘するように、成功に伴う快感は脳の報酬系を活性化させる。問題は、この働きが的確な判断を司る前頭前野の機能を低下させてしまうことだ。成功を重ねるほど人間は客観的な判断が困難になり、どれほど明晰な頭脳を持つ経営者であっても、脳の生物学的な現象からは逃れられない。

こうした事態への対応策として、日本でも2015年のコーポレートガバナンス・コード導入以降、上場企業に社外取締役の設置が事実上義務化された。客観的な目を持つ外部の人間が経営を監視するためだ。

理屈としては正しいように聞こえる。だが、本当に機能しているのだろうか。

23年間アメリカに駐在し、多くのアメリカの名経営者たちと交流してきた経験を持つキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は、社外取締役に批判的だった。

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