麻生要一×入山章栄が語る「新規事業とイノベーションがどんどん生まれる"組織の作り方"」
未来への展望:スタートアップM&Aで連続起業家を
入山:まだまだ課題がたくさんあり、ガバナンスを含めて会社全体のトランスフォーメーションはまだまだですが、日本企業のイノベーション環境は少しずつ良くなっていると私は思っています。それは麻生さんの功績も大きいと思います。
次は本当に経営ですよね。イノベーションができる経営。社外取締役の問題(前編参照)もそうですし。
そして私個人として、次のステージですごく期待したいのは、先にも述べましたが、大企業や中堅企業が、スタートアップとのCVCではなくて、M&Aをすることです。
なぜかというと、日本は今、スタートアップのM&A率が低いのですが、アメリカは9割なんです。なぜ日本でできないかというと、スタートアップを買収してもどう扱っていいかわからなかったんです。「Tシャツにジーパンのイノベーターを、この会社に入れたら困る」と。
今後は、大企業がスタートアップで面白いところをどんどん買収していけば、日本にいいことがたくさんある。まずスタートアップ側からすると、買収された人は、だいたい3年ぐらいすると、ロックアップが終わって辞めるんです。その会社を辞めると、次は資金に余裕があるので、2社目、3社目を創業するんです。いわゆる連続起業家が出てきます。
日本ではどうしても一発で終わってしまう起業家が多いのですが、実は世界で結果を出している起業家は、多くが連続起業家なんです。例えば日本でも、メルカリの山田進太郎さんは連続起業家です。1社目のウノウという会社をZynga(ジンガ)に売却して、そこで得た資金と経験でメルカリを作って、あれだけ成功されている。実はイーロン・マスクも連続起業家です。
ですから、連続起業家を出すためにも、これからのエコシステムのためにも、スタートアップのM&Aがすごく重要です。一方の大企業からすると、もちろん、スタートアップの技術やリソース、ビジネスモデルを手に入れることもあるのですが、私から見ると、そこの人材を取って、経営陣など上に引き上げてほしいんです。
なぜかというと、はっきり言いますが、大企業のつまらない執行役員よりは、スタートアップでリスクをとってIPO(新規株式公開)までこぎつけた経営者のほうが、よほど「経営ができる」のです。リスクをとる経験をずっとやっているから。
近年、日本にスタートアップが多く出てきているので、ここで今度は大企業がスタートアップを買って、連続起業家を生み出しながら、イノベーションが生まれて、かつ、スタートアップで本当にリスクをとってきた人が大企業で上に上がっていく時代になると、もう一度、日本の会社や日本経済が良くなるのではないかと思っています。

















