「テクノロジーで人間の能力は衰えた」はウソだ/生成AIが迫る「何が能力なのか」の大転換

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技術革新は、人間の能力を奪うのではない。

それまで不可分だった「本質的な判断力」と「手段としての作業力」を切り分け、何が本当に重要だったのかを露わにするフィルターの役割をはたす。

スケッチが描けなくなった研究者が、写真によってより多くの発見を成し遂げた。暗室操作から解放された学生が、より多くのサンプルを観察できるようになった。これと同じことが生じているのだ。

生成AIで「何が能力か」が問われる

生成AIは私たちから「書く苦労」や「まとめる手間」を奪うかもしれないが、それによって「何を問うべきか」「何に価値があるのか」という判断力は、むしろ純粋な形で問われることになる。

スケッチから写真へ。接眼レンズからモニターへ。そして、思考からAIへ。技術が変わるたびに問われるのは、私たちが「能力」だと思ってきたものが、本当に本質だったのかどうかである。

私たちはいま、能力が失われる時代ではなく、能力の本質がようやく裸にされた時代に立っている。

大竹 文雄 大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授

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おおたけ ふみお / Fumio Otake

1961年京都府生まれ。1983年京都大学経済学部卒業、1985年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年大阪大学経済学部助手、同社会経済研究所教授などを経て、2018年より大阪大学大学院経済学研究科教授。博士(経済学)。専門は労働経済学、行動経済学。2005年日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞、2006年エコノミスト賞(『日本の不平等』日本経済新聞社)、日本経済学会・石川賞、2008年日本学士院賞受賞。著書に『経済学的思考のセンス』『競争と公平感』『競争社会の歩き方』(いずれも中公新書)など。

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