「トランプ政権のベネズエラ襲撃」で、資本主義はついに「膨張の頂点」に達し、「滅亡の始まり」を迎えた

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資本にとって最高の寄生先になったのが19世紀以降のアメリカである。アメリカは自由で流動性が高く、戦争の勝ち組に乗るという寄生方法から、戦争よりも、より効率的、より生産的な企業の膨張に参加する方法に乗り換えた。これにより資本の膨張スピードは加速し、アメリカの経済的発展とともに、世界を経済的、金融的に支配してしまった。これが限度を知らずに暴走し続けたため、21世紀には、国家よりも企業のほうが世界の主役になってしまった。国家は企業の機嫌をうかがい、企業の背後にある資本の言いなりになってしまった。

しかし、このとき、資本の側も、人々も、基本的な事実を忘れてしまっていた。資本主義の資本とは、国家に寄生することによって膨張を続けてきたことを。所詮、寄生しているにすぎないことを。

なぜアメリカ資本主義が世界を支配できたか。それはアメリカが国家として世界秩序を支配してきたからである。東西ドイツが統一した1990年までは少なくとも西側世界を固定化し、安定化させてきた。そのもとで、その広い西側世界を自由に流動することによって、資本は膨張できた。

1990年以降は、東側も自由に流動できる領域となり、膨張は爆発的に拡大した。しかし、これはあくまで、国家やそれらの集合としてのアメリカの覇権の下での世界秩序の存在に基づいていた。世界が固定されていたからこそ、資本は自由に流動できたのである。

「国家以外の固定される先」を求め、本質を変える資本

ところが、今回、世界は固定化を完全に放棄した。国家たちの側でこれを放棄した。アメリカが放棄すれば、ほかの大国も追随して放棄する。となれば、資本は固定されている枠組み、寄生する対象を失う。だから、滅びるのである。

そして、資本はその本質を変える。固定化されている枠組みだから流動したのであって、枠組みが流動化すれば、固定される先を求める。自ら固定化されようとするようになる。だから、資本は流動化の速度を落とし、資本固定化の時代に入るのである。

まさに、近代資本主義が終わり、変わること、動くことが、最大の価値であった世界が終わり、固定化された、繰り返しの世界、継続の世界になるのであり、資本の本質が180度変わり、新しい時代に入るのである。

国家が利益を求めて自由に右往左往しようとすればするほど、企業も資本も、居場所を固定しようと、国家以外の固定メカニズムを探す。

それは国家が規定してきた通貨からの離脱でもあるし、国家を介さずに社会を取り込もうとする動き、善意であれ(例えば、社会的意義をより重要視する経営方針になる)、悪意であれ(人々を自分たちのサービス、財に依存するように、麻薬的なサービスや財を提供したり、プラットフォームや生活インフラとして使うことが避けられないようにしたり)、これらが加速する。

トランプ政権のベネズエラ襲撃に始まった26年は、まさにこの変化の実現が進む1年となるであろう。経済や金融市場でも、それがあからさまに現れるようになるだろうが、それはまた次回以降に議論したい。なお、「東洋経済オンライン」(会員限定)では、21世紀以降、22世紀への新しい経済と経済学について、9日から新連載「小幡績教授のアフターエコノミクス 22世紀の経済理論へ」を開始した。そちらでも議論していきたい(今回は競馬コーナーは休載です。ご了承ください)。

※ 次回の筆者はかんべえ(吉崎達彦)さんで、掲載は1月17日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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