最終章の配信スケジュールも象徴的でした。ラストのエピソードは、日本では1月1日(アメリカ時間では12月31日)に配信されました。視聴行動の最適化だけを考えれば、必ずしも選ばれやすい日程とは言えません。
実際、過去のシーズンでは、夏休み前など比較的視聴環境が安定した時期に配信されてきました。それと比べると、年末年始は生活リズムが崩れ、視聴の完走率も読みづらい。アルゴリズム上も、扱いづらいタイミングとされています。
それでもNetflixは、その日にファイナルエピソードを置きました。視聴数を軽視したわけではないでしょう。実際、その選択は結果的に、視聴データの面でも一定の成果を残しました。配信されたその週の視聴数は3100万回規模に達し、シーズン5の総視聴回数は1億570万回となりました。英語シリーズ歴代9位に入っています。
ストリーミング時代の1つの到達点
ここで重要なのは、一過性の数字だけを最大化することが目的だったとは言い切れないということです。いつ、どのようなタイミングで物語の終わりを迎えさせるか。その置き方自体が、体験として記憶に残ることを重視していたと思うのです。
年の変わり目にファイナルエピソードが置かれたことで、この作品は「見終えたシリーズ」ではなく、「同じ時間を過ごした体験」として人々の生活の中に残る形にしたかったのではないでしょうか。
一方で、いま、同じ規模で、同じ温度の体験が再び生まれるかと問われれば、容易ではなくなっています。この数年でアルゴリズムは大きく進化し、視聴体験は、人それぞれの興味や生活リズムに合わせて提示される傾向が高まっているからです。その結果、誰もが同じタイミングで、同じ物語に巻き込まれる余白は、以前より小さくなっています。
だからこそ『ストレンジャー・シングス』は、終わっても終わらない作品として残り続け、ストリーミング時代の1つの到達点だった。そう考える余地は十分にあります。
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