ニチイ学館、介護最大手が赤字転落する理由 中堅中小事業者の倒産は過去最高に

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業績悪化を受けて、ニチイ学館は2015年8月~10月末、初任者研修講座の受講費用の半額キャンペーンを断行。受講生は増加に転じたという。加えて、今春に行った、支店における資格講座事業と介護事業の統合の効果も手伝い、「第4四半期をメドに、介護事業の収益は底を打つ見込み」(ニチイ学館)だ。

大手の赤字転落は珍しいが、中堅中小介護事業者の倒産は増えている。東京商工リサーチによると、2015年1~9月の介護事業者の倒産件数は、57件にも上り、2014年を上回って過去最高となった。その最大の要因は、ニチイ学館と同じく、介護人材不足による業績悪化だ。

さらに、2015年4月に行われた3年に1度の介護報酬改定は、9年ぶりにマイナスの改定率となったが、その影響も否定できない。

もともと労働市場における、介護職の地位向上を目指して、資格制度の拡充を行った厚生労働省。だが、皮肉にもそれが介護資格受講者の減少につながった。安倍晋三政権の掲げる、「介護離職ゼロ」目標にも、今や逆風となりつつある。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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